Archive for the ‘懲戒処分’ Category
社会福祉士が傷害事件を起こしたら?刑事・民事責任と資格への影響を解説

社会福祉士が刑事事件を起こした場合、その影響は単なる刑罰にとどまらず、民事上の責任や行政処分(資格への影響)など、多角的な局面に及びます。
架空の事例を設定し、それぞれの局面でどのような処分が発生するかを解説します。
1 事例
【事例:福祉施設内における利用者への傷害事件】
特別養護老人ホームに勤務する社会福祉士のAさん(35歳)は、施設内において、日頃から介護方針を巡りトラブルになっていた高齢の利用者B氏に対し、感情を暴発させて突き飛ばし、全治2週間の打撲を負わせた。その場にいた他の職員の通報により、A氏は駆けつけた警察官に傷害の容疑で現行犯逮捕された。
2 刑事上の処分(刑事責任)
刑事事件は、国家が、罪を犯した者に対して科す刑罰です。国家(警察、検察)対 A氏の構図となります。
- 罪名と罰条:
A氏の行為は刑法第204条の傷害罪に該当します。法定刑は「15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。 - 手続きの流れと処分見込み:
逮捕後、検察庁に送致され、勾留(身柄拘束)を経て、検察官が起訴か不起訴かを判断します。 - 初犯で、被害が全治2週間と比較的軽微であり、B氏側との示談が成立した場合:
不起訴処分(起訴猶予)や、裁判を開かない簡易な手続きである略式命令(罰金刑)となる可能性が高いです。 - 示談が成立せず、過去にも同様のトラブルがある場合:
公判請求(正式な裁判)となり、拘禁刑の判決を受けることになりますが、実刑となるかどうかは、過去に同じような事件を起こして執行猶予中ではないか、被害者のけがの程度がどれほど重篤かなどで決まります。
3. 民事上の処分(民事責任)
民事責任は、被害者が被った不利益(損害)を金銭的に賠償・補填する責任です。B氏(およびその家族)対 A氏(および施設)の構図となります。
- 不法行為責任(刑法上の犯罪とは別):
A氏は、故意にB氏の身体を傷つけたため、民法第709条に基づき不法行為による損害賠償責任を負います。 - 賠償すべき損害の内訳:
積極損害: B氏の治療費、通院費など。
消極損害: 万が一、この怪我によりB氏の身体機能が低下し、追加の介護費用が必要になった場合の費用など。
慰謝料: 身体的・精神的苦痛に対する対価(傷害慰謝料)。 - 施設側の連帯責任(使用者責任):
A氏は業務中に事件を起こしているため、被害者B氏はA氏個人だけでなく、雇用主である福祉施設に対しても民法第715条の使用者責任(損害賠償)を追及できます。
施設がB氏に賠償金を支払った場合、施設からA氏に対して返金を求める(求償権の行使)ことになります。
なお、これ以外に債務不履行に基づく損害賠償請求も考えられます。施設入居の契約上、施設側は入居者の安全に配慮する義務があり、この義務に違反していると言えるからです。
4. 行政上の処分(行政責任・資格への影響)
行政処分は、社会福祉士の「資格」そのものに対する処分です。厚生労働大臣によって判断されます。
社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、刑事罰の重さによって処分が連動します。
- 欠格事由への該当(同法第3条):
社会福祉士及び介護福祉士法3条の欠格事由に該当する場合には、社会福祉士の登録が取り消されます(同32条)。
また、欠格事由に当たる場合には、厚生労働大臣は「その登録を取り消さなければならない」となっており、大臣に裁量はありません。
つまり、欠格事由に該当すると必ず取り消されるということになります。
特別な法律違反の場合を除き、一般的な法律に関しては、拘禁刑以上の刑に該当した場合に欠格事由となることが定められています。
本件でも、裁判を受けるような事態になると、登録取り消しになる可能性が極めて高いと言えます。
5. その他の処分(懲戒処分など)
上記3つに加えて、勤務先である福祉施設から労働法上の処分を受けます。
就業規則の懲戒規定に基づき、基本的には「職場内における利用者への暴力」かつ「逮捕・報道」を伴うものであるため、最も重い「懲戒解雇(即時解雇)」となるケースが一般的です。
薬剤師が盗撮で逮捕されたら?刑事処分・懲戒処分・免許への影響を解説

事例(フィクションです)
Aさん(35歳・薬剤師)は、勤務先のドラッグストアで来店客のスカート内をスマートフォンで盗撮しようとして発覚しました。
警察に性的姿態等撮影罪で逮捕されてしまいました。
この場合、薬剤師としては大きく分けて次の3つのレベルの処分が考えられます。
1.刑事処分
まず、一般市民と同様に刑事責任を問われます。
盗撮行為については、現在は 性的姿態等撮影罪が適用されます。
たとえば盗撮画像を売る目的であるとか、前科前歴があるといった事情がなければ、初犯であれば罰金刑となることが多いと言えます。
また、被害者の方と示談をすることができれば不起訴となる可能性もあります。
2.勤務先からの処分
薬剤師資格とは別に、勤務先から懲戒処分を受ける可能性があります。
例えば、
戒告
減給
出勤停止
諭旨退職
懲戒解雇
などです。
勤務中の犯行や、患者・顧客を対象とした犯行であれば、より重い処分になりやすいでしょう。
なお、ドラッグストアではなく国公立の病院などであれば、公務員としての懲戒処分を受けることになります。
3.薬剤師免許に関する行政処分
薬剤師には国家資格があるため、有罪判決などが確定すると、厚生労働省による行政処分の対象になる可能性があります。
薬剤師法では、一定の場合に
戒告
業務停止(一定期間)
免許取消し
などの処分が行われることがあります。
実際には、刑事事件の内容や判決内容、反省状況、再犯のおそれなどが審査されます。
薬剤師の行政処分についても、医道審議会で審理され、その状況が公開されています。
2022年7月の医道審議会でも、迷惑防止条例違反と器物損壊をした薬剤師に対して業務停止4月の処分が下されています。
まとめ
このの事例では、薬剤師が盗撮事件を起こした場合、
刑事処分(罰金・執行猶予・実刑など)
勤務先の懲戒処分
薬剤師免許に対する行政処分(戒告・業務停止・免許取消し)
の3つが並行して問題となります。
特に有罪判決が確定した場合は、薬剤師としての資格維持にも影響する可能性があります。なお、実際の処分基準は事件の内容や時期、法改正、行政判断によって変わるため、個別のケースでは専門家による検討が必要です。
弁護士広告のNG表現とは?日弁連の規程で禁止される広告と注意点を解説

弁護士事務所については、自由に広告は出せるものの、その内容については日弁連の規程により
制限を受けます。
仮にこの規程に違反するような広告を掲載した場合、会規・会則違反として懲戒処分の対象となる可能性がありますので、具体的にどのような広告が問題となるのかを、「弁護士等の業務広告に関する規程」と、その解釈を示した「業務広告に関する指針」に基づいて説明します。
なお、今回説明するものは、禁止されている広告のうち典型的なものに限りますので、ほかにも多数ルールがありますから、詳しくは規程及び指針をご確認ください。
①勝訴率100%と広告に記載すること
そもそも、勝訴率100%は現実的には実現しえません。受任する事件を選んでいけばそのようなことも可能かもしれませんが、極めて特殊な事例・ケースに限定されます。
同じような事件でも、同じ事件はありませんから、前に勝訴できたとしても、次も勝訴できるという保証はありません。そのため、勝訴率を表示することは、誤導・誤認のおそれのある広告に該当するとして、規程4条1号によって禁止されています。なお、真実の勝訴率を表示したとしても、そもそも勝訴率を掲載すること自体が禁止されていますので、違反となることに注意が必要です。
②〇〇事務所よりも素早く対応します
規程3条5号により、ほかの事務所と比較するような広告を掲載することは禁止されています。この理由について指針では明記されていませんが、品位を損なうような広告であることが理由であると思われます。
そのため、何を比較するかを問わず、比較すること自体が問題とされていますので注意が必要です。
③過去に〇〇事件を担当しました
過去に取り扱った事件については、規程4条4号で掲載が禁止されています。
ただし、①「依頼者の書面による同意がある場合」②-1「広く一般に知られている事件」で「依頼者の利益を損なうおそれがない」②-2「依頼者が特定されない場合」で「依頼者の利益を損なうおそれがない」場合には、許容されています。
書面による同意がある場合には問題は生じませんが、それ以外の場合に注意が必要です。指針に挙げられている例は、弁護団事件などで依頼者が多数であり同意を得ることが困難でかつ原告が増えた方が依頼者自身の利益にもなるというようなケースです。そのため、また、依頼者が特定されないかどうかは、依頼者名が表示されているかどうかではなく、実質的に特定できないかどうかで判断するとされており、極めて慎重な対応が必要となります。
④〇〇を専門としています
医師に存在する「専門医」制度と異なり、弁護士にはそのような制度はありません。そのため「どうなれば専門と言えるのか」がはっきりしていないといえます。
そのため、客観的なものが担保されず、「専門」と名乗ることには、国民を誤導する可能性があるとして表示を控えるのが妥当であると指針では記載されています。
これに対して「積極的に取り組んでいる分野」「関心のある分野」という表現は問題ないとされており、そちらの方が望ましいと言えます。
弁護士が広告を掲載する際には、必ず広告規程及び指針を確認するようにしてください。
【弁護士が解説】処方箋偽造でどうなる?刑事責任・看護師免許・懲戒処分のリスクを解説

事例
東京都内の総合病院に勤務する看護師Aさんが、自身の不眠症状を改善する目的で、医師の許可なく睡眠薬の処方箋を偽造し、薬局で薬を受け取りました。
後日、薬局からの照会により発覚し、警察に通報されました。
(事例はフィクションです。)
① 刑事上の責任(刑罰)
この場合、主に次の犯罪が成立する可能性があります。
有印私文書偽造等罪(刑法第159条)
Aさんは、医師に成りすまし、医師名義の処方箋を作成していますから、有印私文書偽造罪が成立します。
なお、「有印」とは、「他人の印章等を使用して」行うことを指すとされていますが、処方箋の医師名の横には医師の印が押されていると思われますので、この罪が成立します。
有印私文書行使罪(刑法第161条)
この偽造文書を行使した場合には、有印私文書行使罪が成立します。薬局に提出する行為は、まさに行使と言えます。
詐欺罪(刑法第246条)
このような偽の処方箋を用いて医薬品を薬局から購入した場合、「もし本当のことを(偽造されていること)を薬局が知っていたら、薬を提供しなかった」
と言えることから、薬を詐取したとして詐欺罪に問われる可能性があります。
なお、Aさんはもちろん対価として薬の代金を支払っているはずで、これ自体は正当な金額だと思われます。たとえ正当な対価を支払っていたとしても、
本当のことを知っていれば売らなかったというような場合には、詐欺罪が成立しうると言えます。
仮にこれらのすべてについてAさんが罪に問われたとしても、初犯であれば実刑判決となる可能性はそれほど高くありません。
しかし、Aさんが過去にも同じようなことをしている場合や、初犯であっても詐取した薬剤の量が多い場合、自己使用目的ではなく転売目的である場合等には実刑の可能性が否定できなくなってきます。
② 看護師資格への影響
看護師の資格は、保健師助産師看護師法に基づいて管理されています。
看護師については、罰金以上の刑となった場合や、看護師として品位を損するような行為があったときに処分を受ける可能性があります
(保健師助産師看護師法14条)
■ 行政処分の流れ(罰金以上の刑を受けた場合)
まず刑事事件が確定する必要があります。現に裁判中の場合には、罰金以上の刑を理由に処分を受けることはありませんし、第一審が終了しても控訴した場合には刑が確定していない状態になるので処分を受けません。ただし、看護師として品位を損する行為かどうかは、刑の確定とは関係ない事情となりますので、こちらを理由として処分を受ける可能性があります。
法律上、厚生労働省による調査が行われることになっています。しかし、実際には都道府県知事(もっと言うと、都道府県の担当部局の職員)による聴聞が行われることがほとんどです(同15条3項)。
都道府県において聞き取りが行われ、その意見が厚生労働省に提出されることで、実際に医道審議会での審議が行われることになります。
最終的な処分については、医道審議会の意見を聞いたうえで、厚生労働大臣が決定する(准看護師の場合には、准看護師試験委員の意見を聞いて都道府県知事が決定する)ことになっています。
■ 想定される行政処分
処分の重さは事案の悪質性によります。ただ、「保健師助産師看護師に対する行政処分の考え方」が公表されており、ここで一応の目安が記載されています。
処方箋の偽造については直接的には定められていませんが、職務上の立場を利用して犯罪を行ったような場合には重い処分とすることが明記されていますので、
今回のAさんの事例でも免許取消しや業務停止といった重い処分が考えられます。
■ 免許取消の場合
一度免許を取り消されると、基本的には5年程度免許が取得できなくなります(取り消しとなった事由にもよります)。
③ 勤務先での処分
病院からは以下の懲戒処分が想定されます。
懲戒解雇
諭旨解雇
停職
医療機関では信用失墜行為は重大視されるため、懲戒解雇の可能性が高いです。
④ まとめ(本事例の場合)
この架空事例では:
刑事責任:有罪(執行猶予付き懲役の可能性)
職場:懲戒解雇の可能性大
看護師免許:業務停止〜取消の可能性
【弁護士が解説】報酬説明なしで280万円請求…弁護士が懲戒請求された遺産分割事件の問題点とは
【弁護士が解説】報酬説明なしで280万円請求…弁護士が懲戒請求された遺産分割事件の問題点とは

1.事案の概要
弁護士M(登録8年目・都市部の法律事務所勤務)は、個人依頼者Nから、次の事件を受任した。
相続人間の遺産分割協議
遺産総額:約2,000万円
紛争性は比較的低く、調停前の協議段階
Mは、初回相談時に「うちの事務所の一般的な基準でやります」と述べたのみで、具体的な報酬額・算定方法を明示しなかった。
また、その際書面による委任契約書は作成されなかった。
(事案はフィクションです。)
2.事件処理の経過
Mは、相続人との電話連絡、協議書案の作成などを行い、約2か月で事件は円満に解決した。
裁判所での手続は利用されず、依頼者Nは結果に概ね満足していた。
3.問題行為の発覚
事件終了後、MはNに対し、以下の請求書を送付した。
着手金:50万円
成功報酬:遺産総額の10%(200万円)
事務手数料等:30万円
合計:280万円
Nは、事前説明を受けていない、成功報酬の意味が分からない、紛争がほぼなかったとして強く抗議した。
これに対しMは、「成果が出たのだから当然の報酬だ」「払えないなら法的措置も検討する」と述べ、請求を撤回しなかった。
4.懲戒請求の申立て
Nは、報酬説明義務違反、高額な報酬請求、契約書不作成を理由に、所属弁護士会へ懲戒請求を行った。
5.弁護士Mの弁明
Mは調査に対し、次のように主張した。
事務所の内部基準に基づく請求である
相続額に比例する成功報酬は合理的
依頼者も弁護士費用が発生することは理解していた
6.判断
以下の点を問題視した。
① 報酬説明義務違反
金額・算定方法・成功報酬の定義について事前に具体的説明がなかった、書面化もされていない
→ 依頼者の合理的理解を欠くほか、契約書作成義務という弁護士の基本的な義務に違反している
② 不当な高額性
紛争性が低く、処理期間も短期間、裁判手続なし
にもかかわらず、
遺産総額の10%を成功報酬とするのは、契約書が作成されていない本件では不相当に高額の可能性がある。
③ 事後的・一方的請求
結果確定後に初めて高額な報酬を提示
→ 依頼者の自己決定権を侵害
④ 威圧的言動
法的措置を示唆し、支払を迫った点も不相当との評価を受けざるを得ない。
まとめ
契約書なく受任をすることは、書面作成のみといった簡単な事件ではない限り禁止されています。
また、事務所に報酬の一覧を備えつける必要があるため、依頼者からしても全く金額の予想がつかないわけではありませんが、別の合意をすることなども可能なので、事件ごとに都度金額の説明を行う必要性があります。
報酬の回収ということ自体は問題にならないものの、安易に法的措置を持ち出すなどした場合には、それ自体品位を失う行為として懲戒になる可能性があるので注意が必要です。
【弁護士が解説】証拠開示資料をブログ掲載・記者提供した弁護士の法的責任とは――秘密漏示罪・目的外使用・懲戒のリスクを解説
証拠開示資料をブログ掲載・記者提供した弁護士の法的責任とは

弁護士Aは、強盗致傷事件の被告人Bの弁護人として、検察官から証拠開示を受けました。
記録には、被害者の供述調書が含まれ、その中には被害者の住所や連絡先がマスキングなしで記載されていたほか、防犯カメラ映像データなども含まれていました。
弁護士Aは、社会的に注目を集めた事件であることから、
記録の一部を自己のブログで「社会的関心が高い事件」として紹介しました。
そのなかでは、被害者の供述内容を匿名化が不十分な状態で掲載しています。
さらに、知人の記者に参考資料としてPDFデータを送付しました。
Aにはどのような責任があるでしょうか。
① 想定される刑事責任
弁護士が刑事事件記録を不適正に利用した場合、行為態様によっては以下の犯罪が成立し得ます。
1.秘密漏示罪(刑法134条)
弁護士は「業務上知り得た秘密」を守る義務を負います。
被害者の供述内容や住所
事件関係者の個人情報
捜査上の非公開情報
これらを正当な理由なく漏らした場合、6月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金に処せられます。
本事例では、被害者の氏名や住所が記載された供述調書をブログにアップしたり、記者に教えたりしていますので、秘密漏示の罪になる可能性があります。
2. 証拠目的外使用(刑事訴訟法上の問題)
証拠開示資料は「防御目的」に限定して使用することが前提です。
目的外使用は、刑事訴訟法281条の5に定める罰則の対象となり、弁護人であっても処罰の可能性があります。
被告人が目的外使用をした場合(目的とは、281条の4第1項に定める目的です)には、それだけで処罰の対象となりますが、
弁護人は「対価として財産上の利益その他の利益を得る目的」に使用した場合に処罰の対象となります。
自己の名声を上げるための場合などは、利益を得る目的と認定される可能性が高いので注意が必要です。
② 懲戒処分(弁護士法上)
弁護士は 弁護士法 に基づき、所属弁護士会および 日本弁護士連合会 の監督を受けます。
懲戒の種類(弁護士法57条)
戒告
2年以内の業務停止
退会命令
除名(弁護士資格喪失)
本事例で想定される処分
本件のように、被害者が特定された場合、二次被害発生したり、記者へデータ送付という積極的漏洩をしたことが弁護活動と無関係な利用であるならば、重い処分となる可能性があり、業務停止となる可能性も否定できません。
③ 民事責任
被害者から、
不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求
慰謝料請求
を受ける可能性もあります。
刑事弁護における証拠開示資料は、
✔ 防御目的限定
✔ 厳格な保管義務
✔ 関係者以外への提供禁止
が原則です。
特にデジタルデータは漏洩リスクが高いため、注意が必要です。
【弁護士が解説】税理士が税理士法などの関係法令に違反した場合に受ける行政処分とは?
【弁護士が解説】税理士が受ける行政処分とは?

税理士が行政処分を受けるのは、税理士法や関係法令に違反し、税理士としての信用・職責を損なう行為があった場合です。
以下では、処分の種類を整理したうえで、具体的な事例に即して解説します。
税理士に対する行政処分の種類(税理士法44条)
税理士法に基づく行政処分には、主に次の3種類があります。
・戒告
・2年以内の税理士業務の停止
・税理士業務の禁止
これらのうち、どの処分となるのかは違反の内容・悪質性・影響の大きさ・再発防止の可能性などを総合的に考慮して決定されます。
しかし、税理士法は、特に問題となるようなケースについて、あらかじめ処分の内容を定めています。
具体的な事例別の解説
① 無資格者への名義貸し【重い処分】
事例
税理士が、自分の名義を使わせて、無資格者に申告書作成や税務相談をさせていた。
問題点
税理士法では、税理士資格のない者が税務代理・税務書類作成・税務相談を行うことは禁止されています。
名義貸しは、制度の根幹を揺るがす重大な違反です。
何も自分で処理せず、すべてを事務員に処理させていたような場合でも名義貸しに該当する可能性がありますので注意してください。
② 脱税相談等をした場合の懲戒(45条)
事例
顧問先の要請に応じて、架空経費の計上や売上除外を知りながら申告書を作成した。
税理士が、故意に真正の事実に反して税務書類を作成した時は、2年以内の税理士業務の停止または税理士業務の禁止とすることができるとされています。
税理士として故意に脱税をしたような場合には、さすがに戒告処分では済まず、業務停止以上の処分となる可能性が高いことを表しています。
なお、法文では処分することが「できる」となっており、処分をしない場合もあることを前提としています。ただ、故意の脱税は相当重い行為ですから、処分を覚悟しなければなりません。
顧問先などから、適切な処理とは異なる処理を依頼される可能性もあります。不適法だと知りながら、断り切れずに処理してしまった場合でも、故意にやったことには変わりはありませんから注意が必要です。
③ 守秘義務違反
事例
顧問先の財務状況や申告内容を、第三者や他の顧客に漏らした。
問題点
税理士法には厳格な守秘義務規定がある
故意・過失を問わず、漏えい自体が問題となります。
内輪の場面であっても注意をしましょう。
④ 税理士会の指示・義務違反【比較的軽いが繰り返すと重くなる】
事例
研修受講義務を正当な理由なく長期間怠る
税理士会の調査や報告要請に応じない
問題点
税理士は公的資格者として、会の統制下にある
協調義務違反は職業倫理上の問題となり、戒告処分を受ける可能性もあります。
行政処分が与える影響
官報等で処分内容が公表される
顧問先・金融機関からの信用失墜
業務停止中は一切の税理士業務が不可
登録取消しの場合、再登録は極めて困難
などといった、様々な問題が生じます。
まずは、このようなトラブルが生じないように業務を行いましょう。
仮に問題になった場合には、処分の軽減を図れるよう、弁護士にご相談ください。
【弁護士が解説】勤務中の看護師が勤務先の病院で入院中の患者からお金を盗むとどうなるか?
看護師が患者からお金を盗むとどうなるか?

事例
地方都市の総合病院で勤務する看護師A(30代・勤続8年)は、夜勤中に患者の枕元にあるロッカーから現金3万円を持ち去りました。
後日、患者の申告と防犯カメラ映像により発覚し、病院は警察に被害届を提出。Aは事実を認め、被害金額は弁済しました。
(※事例はフィクションです。)
① 刑事処分(刑法上の責任)
適用される罪名
窃盗罪(刑法235条)
他人の財物を窃取した者は、
10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
Aさんの行為は、他人のものである現金を盗むという行為になりますので窃盗になります。
なお、仮にAさんら病院が、患者の人から現金を預かって別の場所で保管しており、それをAさんが盗んだというような場合には、業務上横領罪となる可能性もあります。業務上横領罪になると、法定刑は10年以下の拘禁刑となり、罰金の定めが消えてしまいます。
想定される刑事処分の内容
刑事処分は、
・被害の程度、行為態様、前科があるかどうか
・被害回復されているかどうか
・そのほかの社会的制裁を受けるかどうか
などの要素を考慮して決定されます。
今回の事件で言えば、患者のお金を盗むということは、単なるスリの事案などと比較しても悪質であると判断される傾向にあります。
しかし、Aさんが初犯で、被害者に対して被害弁償をしていれば、3万円という金額自体はそれほど高額というわけではないので起訴猶予処分(不起訴)となる可能性も十分あります。
これに対して、この事件は万引きの事案よりは重い事案であると考えられますから、仮に被害弁償ができないということになれば、初犯であっても略式による罰金刑となる可能性が高いと言えます。
② 行政処分(看護師免許に対する処分)
こちらが看護師にとって非常に重いポイントです。
根拠法令
保健師助産師看護師法
この法律では、
「看護師としての品位を損なう行為」があった場合
厚生労働大臣が行政処分を行える
と定められています。
また、罰金以上の刑に処せられ場合にも、処分を受けることがあります。
行政処分の種類(軽い順)
戒告
厳重注意・将来を戒める処分
業務停止
〇か月〜〇年、看護業務ができない
免許取消
看護師資格そのものを失う
本事例で想定される行政処分
患者からの窃盗は、医療職としての信頼を大きく損なう行為と評価されやすいため、業務停止となる可能性も否定できません。
特に、
患者という弱い立場を利用した点
職務中の犯行である点
が重く見られます。
ただ、行政処分は、刑事処分がどのようになったのかを相当意識していますので、被害弁償ができて起訴猶予となったような場合であれば処分が軽減される可能性が高いと言えます。
③ 勤務先(病院)からの処分
※刑事・行政とは別枠です。
多くの場合、
懲戒解雇
少なくとも 諭旨解雇
になる可能性が高いです。
医療機関は「患者からの信頼」が生命線なので、復職は極めて困難です。
なお、仮に勤務先が国公立の病院である場合には、勤務関係が公務員のものとなりますので、解雇ではなく免職という表現になります。
ただ、これも刑事処分がどうなったのかに大きく影響を受けます。
このように、看護師の方が窃盗事件を起こすと、様々な処分を受ける可能性があります。
ただ、いずれも刑事処分の結果に大きく左右されますから、まずは被害者の方への謝罪と賠償が優先されます。
事件を起こしてしまった場合には、まずは刑事事件に関して弁護士に相談しましょう。
弁護士が交通事故を起こすとどのような処分となるか

弁護士が交通事故を起こした場合、その事故の内容や責任の程度によっては、弁護士資格に影響を及ぼす可能性があります。ただし、「交通事故を起こした」という事実だけで直ちに弁護士資格を失うわけではありません。以下に、具体的なポイントを解説します。
1. 弁護士資格への直接的な影響
弁護士資格の停止や剥奪は、主に「品位を失う行為」があった場合に問題となります(弁護士法第56条、同法第65条など)。したがって、交通事故においても以下のような事情がある場合は懲戒処分の対象となる可能性があります。
▼ 懲戒処分の対象となり得るケース:
| ケース | 資格への影響 |
|---|---|
| 飲酒運転・無免許運転・ひき逃げ等 | 高い確率で懲戒処分(戒告、業務停止、除名など)となる可能性あります。刑事罰も予想されるので、そちらにより資格を喪失する可能性もあります。 |
| 人身事故(重過失あり) | 過失の程度やその後の対応によっては処分対象になり得えますが、過失犯自体ではそれほど処分の可能性が高いとまで言えません。しかし、刑事罰の内容により資格を喪失する可能性があります。 |
| 軽微な物損事故(過失小) | 原則として弁護士資格に影響が出たり、何らかの処分を受ける可能性は低いと思われます。 |
2. 懲戒処分の種類
懲戒処分は、弁護士会によって行われるもので、以下のような種類があります(弁護士法第56条)。
| 処分の種類 | 内容 |
|---|---|
| 戒告 | 厳重注意に相当。公告はされるが、業務停止にはならない。 |
| 業務停止 | 一定期間、弁護士業務の遂行が禁止される。 |
| 退会命令 | 当該弁護士会からの強制退会。 |
| 除名 | 弁護士としての資格そのものを剥奪。 |
3. 刑事処分と弁護士資格の関係
交通事故が刑事事件となった場合(例:過失運転致死傷、危険運転致死傷など)、刑事罰の内容も重要です。
- 拘禁刑以上の刑(執行猶予含む)を受けた場合:
- 弁護士法第7条により、欠格事由に該当し、弁護士資格を喪失します。
- 執行猶予期間が満了すれば、再度登録の申請は可能。
4. 事故後の対応がカギとなることも
弁護士としての社会的信用や倫理性が問われるため、以下のような対応は資格への影響を左右する可能性があります。
- 被害者への誠意ある謝罪と補償
- 事故の事実を隠蔽しない
- 適切な報告を行う(弁護士会などに必要があれば)
まとめ
| 交通事故の内容 | 弁護士資格への影響 |
|---|---|
| 軽微な物損事故 | 原則として影響なし |
| 人身事故(過失あり) | 過失の程度と対応によっては処分対象に |
| 飲酒運転・ひき逃げ | 高確率で懲戒処分、場合によっては資格喪失も |
| 拘禁刑以上の刑 | 欠格事由に該当し、資格喪失 |
様々な懲戒について
このサイトでは様々な「懲戒」を扱っていますが、その意味合いは文脈によって様々です。
そこで、ここでは「懲戒」という言葉について分類しておこうと思います。
①民間企業における「懲戒」
民間企業で仕事をしているうえで、「懲戒処分」と受けることがあります。
これは企業の労働者への監督権の一環として、懲戒権として認められているものになります。
停職、減給などの様々な処分がありますが、これは労働問題の一環としてなされるものであり、争う場合には労働審判、民事訴訟などで争うことになります。
②公務員の懲戒
公務員も労働者ですが、「懲戒処分」を受けることがあります。
これは地方公務員法、国家公務員法といった公務員に関係する法律により定められているものであり、行政処分の一環として行われるものです。これを争う場合には、人事院、公平委員会等の行政機関に不服申し立てを行った後、行政訴訟を提起することになります。
③医師・看護師の懲戒
医師や看護師に対しても懲戒処分がなされることがあります。
その前に、医師や看護師でも、民間病院や公立病院に勤務している場合があります。この場合、医師や看護師も労働者ですから、①②で見たいような懲戒処分が別途発生する可能性があります。
ここで問題にする医師や看護師に対する「懲戒」は、それらの資格に対する処分です。
罰金以上の刑を受けた場合などには、医師や看護師は何らかの懲戒処分を受けることがあります。これは、厚生労働大臣が個人に対して科すものであり、業務停止などの処分を行うことになっています。
これらの処分は、厚生労働省の医道審議会で検討されるのですが、一時的には都道府県の担当部局が聴き取り等を行います。そのため、都道府県⇒医道審議会と上がって、最終的に厚生労働大臣による処分が行われることになります。
そのため、これらの処分を争う場合にも行政訴訟を提起することになります。
④弁護士に対する懲戒
弁護士に対する懲戒処分は、これらの懲戒処分とは異なります。
まず、申立が認められています。何人でも弁護士に対して懲戒をするよう申し出ることができます。医師に対する懲戒をするように厚生労働大臣に申立てることはできませんので、これは大きな違いです。
次に、処分の第一次的な判断は各弁護士会及び日本弁護士連合会によってなされるというところにあります。たとえば、医師による処分は厚生労働大臣によってなされますが、これに対して不服の訴えを提起する場合には、地方裁判所に訴訟提起することになりますしかし、弁護士会の処分に不服がある場合には日本弁護士連合会に不服申立てをし、その処分にも不服がある場合には東京高等裁判所に訴えを提起することになっています。日弁連が第一審的な役割を果たすことになっています。
弁護士に対する懲戒処分は、いずれにしても資格に対するものになっています。また、官報に公告されることになっているので、必ず氏名などが公になります。公務員に対する処分も公表されていますが、氏名などまで公表されている例は多くなく、この点でも異なります。
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