紛議調停手続

1 紛議調停の概要

紛議調停手続きとは、弁護士法第41条に基づき、弁護士の職務又は弁護士法人の業務に関する紛議について、弁護士会が調停を行う手続きです。

市民窓口や懲戒請求と異なり、「弁護士、弁護士法人又は当事者その他関係人」に請求権者が限定されています。

また、調停の対象となるのは、弁護士(弁護士法人)と依頼者の間の紛争だけに限らず、弁護士(弁護士法人)と弁護士(弁護士法人)の間の紛争も含まれます。

ただし、「職務」又は「業務」に関する紛議に限定されていますので、弁護士の私的な事柄に対してこの調停を申し立てることはできないと考えられます。

弁護士は、弁護士職務基本規程26条で「弁護士は、依頼者との信頼関係を保持し紛議が生じないように努め、紛議が生じたときは、所属弁護士会の紛議調停で解決するように努める。」とされており、同73条で「弁護士は、他の弁護士等との間の紛議については、協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努める。」とされていますので、できる限り調停による解決を図るべきとされています。

2 紛議調停の手続き

弁護士法では、紛議調停の具体的な手続きを定めていません。ただし、各単位会の会則で具体的な手続きが定められており、多くが裁判所の調停手続に準ずる形で定められています。

具体的には、申立人が単位会紛議調停員会に申立書を提出し、委員会担当者が双方を呼び出し、その主張を聞いた上で、調停成立に向けて調整を行うというものになります。

ただ、あくまでも調停手続ですので、合意の見込みがない場合や、申立人が出頭しない場合などには調停不調で終了することとなります。懲戒手続や裁判手続とは異なり、強制的に処分することはできません。

また、調停不成立となった場合などに、日弁連へ上訴することができない(上訴の手続きの定めがない)ことも、懲戒手続と異なる点です。

3 年間件数

『弁護士白書 2021年版』によると、2020年1月から12月までの1年間に申し立てられた紛議調停事件の件数は655件であり、その前年の2019年は807年、2018年は726件と、おおよそ700件前後で事件数が推移しています(同書167ページ)。

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