利益相反②(規則28条)

1 職務を行い得ない事件

弁護士職務基本規程第28条も、第27条と同様に、弁護士が職務を行い得ない事件を定めています。

ただし、基本規程第27条が、弁護士法第25条と同内容であったのに対し、基本規程第28条は、弁護士法に同じ内容の定めはありません。

ただ、基本規程は、日弁連の会規ですので、基本規程第28条に該当するような事件を受任した場合には、会則違反として懲戒事由となるおそれがあります。

2 相手方が配偶者、直系血族、兄弟姉妹又は同居の親族である事件

まず、1号は、事件の相手方が、弁護士の配偶者、直系血族、兄弟姉妹又は同居の親族である事件の取り扱いを禁止しています。

これは、弁護士と特別の関係ある者を相手方とする事件では、弁護士が依頼者の利益を害するおそれがあり、かつ外形的にも弁護士の職務執行の公正に疑惑を招くから禁止されているものです。

3 受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供を約しているものを相手方とする事件

2号は、受任している事件の依頼者を相手方とする事件等の取り扱いを禁止しています。弁護士法第25条3号、弁護士職務基本規程第28条第3号では、受任している事件の相手方からの依頼による事件の取り扱いを禁止していました。

この2号はその反対で、元々別の事件の依頼者である者を相手方として、第三者から事件を受けることを禁止しています。これも、弁護士の職務執行の公正が害されているという疑いを招くからです。

4 依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件

3号が禁じているのは、複数の依頼者相互の利益が相反する事件の取り扱いです。

単なる人間関係上の問題だけであれば、利益相反とまでは評価されませんが、法律上の利益が対立している場合には、3号に該当することになります。

5 依頼者の利益と自己の利益が相反する事件

4号は、依頼者と弁護士の利益が相反する場合を禁止しています。

もちろん、報酬の支払いという観点から見れば、弁護士と依頼者は常に利益がそう反しますが、このような場合は含まれません。

たとえば、弁護士の職務行為により、弁護士自身が保有する株式の価値が上下するような場合がこれに当たると思われます。

6 禁止の解除

1・4号に該当する事件は、依頼者自身が同意をすれば、禁止が解除されます。

また、2号に該当する事件は依頼者及び相手方が、3号に該当する事件は双方の依頼者が合意をした場合には、同じく禁止が解除されることになります。

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