棄却等の場合の不服申立て

1 単位会綱紀委員会が棄却等をした場合

単位会綱紀委員会が、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする議決がなされ、単位会が対象弁護士を懲戒しない旨を決定した場合には、懲戒請求者は日弁連に異議申出ができます(弁護士法第64条第1項)。

ただし、懲戒請求者は、裁判所に懲戒を義務付ける訴訟などの訴えを提起することはできません。また、弁護士会自体が立件した場合(会立件の場合)には、弁護士会は異議申出ができないと考えられています。

異議申出ができる期間は、懲戒請求者が通知を受けた日から3か月以内です(弁護士法第64条第2項)。

懲戒請求者が異議申出を行った場合、事件は日弁連綱紀委員会に移されます。

この日弁連綱紀委員会の手続きは、別のページをご参照ください。手続の進行方法などは、日弁連自身が懲戒手続を行う際と同じです。

2 単位会懲戒委員会が棄却等をした場合

単位会懲戒委員会が、①懲戒しないことを相当とする議決がなされ、単位会が対象弁護士を懲戒しない旨決定した場合、もしくは②弁護士会がした懲戒の処分が不当に軽いと思料する場合には、懲戒請求者は異議申出を行うことができます。

異議申出ができる期間については、同じく通知を受けた日から3か月以内です。

異議申出がなされた場合、事件は日弁連懲戒委員会に移されます。この日弁連懲戒委員会の手続きは、別のページをご参照下さい。

手続の進行方法などは、日弁連自身が懲戒手続を行う際と同じです。

3 日弁連綱紀委員会が棄却等をした場合

⑴単位会綱紀委員会の決定に異議申立がなされた事件の場合

単位会綱紀委員会が、対象弁護士について懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当と議決し、単位会が懲戒しないことを決定した後、懲戒請求者により異議申し出がなされた場合には、日弁連綱紀委員会により審査がなされます。

日弁連綱紀委員会が異議を認める場合には、事件は再び単位会に送付されることとなっています。

日弁連綱紀委員会に異議の申出に理由がないと考えるときは、異議申出の棄却(又は却下)の決定を行い、日弁連による同旨の決定がなされます。

この日弁連の決定に対して、懲戒請求者は、日弁連綱紀審査会に綱紀審査の申出を行うことができます。綱紀審査の申出は、通知を受けた日から30日以内に行う必要があります。

綱紀審査の申出を受けると、事件は日弁連綱紀審査会に移されます。

⑵日弁連が独自で懲戒手続を開始した事件の場合

この場合は、異議の申出はできません。ですので、日弁連綱紀審査会が懲戒しない決定をし、日弁連がその旨を決定した場合には、決定が確定します。

4 日弁連懲戒委員会が棄却等をした場合

⑴単位会懲戒委員会の決定に異議申立がなされた事件の場合

単位会懲戒委員会が、対象弁護士を懲戒しないか、不当に軽いと思料する処分を行った場合には、懲戒請求者は異議申出を行うことができ、その場合には事件は日弁連懲戒委員会に移されます。

日弁連懲戒委員会は、異議申出に理由があると考えるときには、理由を明示した上で、日弁連によって懲戒処分を行います。日弁連綱紀委員会と異なり、事件を単位会に送付しません。

次に、日弁連懲戒委員会が異議に理由がないと考えるときには、異議申出を棄却(または却下)します。そして、この決定に対しては不服の申立て等を行うことはできません。また、日弁連綱紀審査会に対して、綱紀審査の申立ても行うことはできません。


⑵日弁連が独自で懲戒手続を開始した事件の場合

この場合も異議申出はできませんので、日弁連で懲戒しない旨の決定が出た場合には、その旨が確定します。

5 日弁連綱紀審査会が棄却等をした場合

日弁連綱紀委員会が行った異議申出を棄却する決定に対しては、日弁連綱紀審査会に綱紀審査の申出を行うことができます。

綱紀審査会が、懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と考えた場合には、単位会に事案を送付し、単位会懲戒委員会で審査が行われます。

反対に、日弁連綱紀審査会が、不服申し立てに理由がないと考えるときは、その旨議決をし、日弁連において綱紀審査の申出を棄却(または却下)します。

この棄却(却下)の決定に対しては、不服申立てはできませんし、懲戒請求者は、訴えの提起等を行うこともできませんので、懲戒手続は終了します。

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