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1 懲戒とは
弁護士に対する懲戒とは、各弁護士会または日本弁護士連合会が、所属する会員弁護士又は弁護士法人
に対して行う処分を指します。
このような懲戒制度が置かれている目的は、弁護士会等の指導監督により、各弁護士や弁護士法人に対する国民の信頼を確保し、弁護士法1条に記載されている基本的人権の擁護や社会正義の実現といった使命を全うさせるためであるということができます。
また、このような懲戒権限を弁護士会等が所管することとなっているのは、行政機関や裁判所と対峙する弁護士という資格の性格に鑑み、弁護士自治の観点から弁護士の団体である弁護士会に委ねることとなったとされています。
2 懲戒の種類
弁護士(以下は自然人たる弁護士を念頭に記載します)に対する懲戒は、以下の4種類です(弁護士57条1項)。
①戒告
②2年以内の業務停止
③退会命令
④除名
これらのうち度の内容の処分となるかは、弁護士会に設置された懲戒委員会において審議され、決定されます。
もっとも重い除名処分となると、弁護士となる資格自体喪失するものですから、弁護士として職務を行うことができないだけでなく、行政書士になることもできなくなる(行政書士法2条2号は「弁護士となる資格を有する者」が行政書士となる資格を有するとする)ことになります。
そのため、懲戒の内容如何では、弁護士の職務に大きな影響を与えることとなります。
3 懲戒の結果
弁護士が懲戒を受け、それが確定した場合には、確定した内容に従って弁護士に処分が与えられます。
戒告であれば弁護士たる資格に影響が出るわけではありませんが、業務停止以上となればその期間弁護士としての職務を行うことができなくなります。
また、弁護士がこれらの処分を受けた場合には、そのことが官報によって公告される(弁護士法64条の6第3項)のほか、日本弁護士連合会が発刊している雑誌『自由と正義』に懲戒の事実が記載されることとなっています。
そして、弁護士会に対して当該弁護士の過去の懲戒処分歴の開示請求があった場合には、これを開示することとなっていますので、将来の依頼者に対しても懲戒歴を知られてしまう可能性があります。
このように、懲戒を受けてしまうことは、弁護士としての職務に大きな影響を与えてしまうものですから、懲戒手続きが開始されてしまったような場合には慎重に対応する必要があります。