綱紀委員会②

1 綱紀委員会の手続

 綱紀委員会でどのような手続を行うか(調査方法をとるか)ということについて、具体的な方法等は弁護士法に定められておらず、その方法は各単位会が会則で定めることとなっています(弁護士法第33条第2項第8号の規定)。
 そのため、「綱紀委員会での手続」といっても、その内容は単位会毎に異なり得るものですので、以下の記載はあくまでも一般的な手続というものに留まります。

2 手続の流れ


①事件の配点
 懲戒請求がなされた場合や、会立件がなされた場合、事件は綱紀委員会に係属します。
大きな単位会であれば、部会を構成していますので、具体的には特定の部会に事件が配点されることになります。
②対象弁護士への通知
 事件が配点されると、対象弁護士に通知がなされます。具体的には、懲戒請求があったことだけではなく、答弁書を提出するよう求められます。
 綱紀委員会は、弁護士法第70条の7により、「綱紀委員会は、調査又は審査に関し必要があるときは、対象弁護士等、懲戒請求者、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。」とされていますので、その一環として対象弁護士に対して答弁書の提出を求めます。
また、答弁書と同時にまたは答弁書提出後、綱紀委員会から資料の提出を求められることもあります。 この根拠も、上述の弁護士法第70条の7です。
 なお、日弁連会則第72条により「弁護士及び弁護士法人は、会規で定めるところにより懲戒の手続への協力を求められたときは、正当な理由がない限り、これに応じなければならない」と定められています。そのため、綱紀委員会からの答弁書提出や、資料の提出の求めに対して従わなかった場合には、日弁連の会則違反として別途懲戒事由を構成することとなります。
③事情聴取
 対象弁護士からの答弁書を踏まえ、事件の争点が一応明らかになると、今度は対象弁護士、懲戒請求者らを呼び、事情聴取を行います。
 この回数は通常1回程度のことが多いですが、懲戒請求者から追加の主張等がなされると、複数回にわたることもあります。
④議決
 最終的にこれらの調査の結果を元に議決を行い、その内容は対象弁護士に通知されます。

3 手続の公開性


 綱紀委員会の議事や議決については非公開とされてます。これは委員らの自由な意見表明を保証するためです。そのため、綱紀委員会の議事録自体も非公開とされ、閲覧、謄写は許されていません。
これに対し、調査期日の調書や提出書類等については、対象弁護士に対しては、手続き保障の観点から、閲覧謄写を許すべきであると考えられていますが、懲戒請求者に対してどのような措置をとるかは、綱紀委員会の裁量に任されていると考えられています。

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