汚職行為の禁止

1 汚職行為の禁止
 

 弁護士法第26条は、「弁護士は、受任している事件に関し相手方から利益を受け、又はこれを要求し、若しくは約束してはならない。」と定めています。
 この条文は、弁護士の汚職行為の禁止を定めるものです。
 そして、他の条文と共に懲戒事由となりうることは当然なのですが、弁護士法第76条の規定により、本条違反の行為については3年以下の懲役刑が定められ、刑事罰が科せられることとなっています。なお、贈収賄の罪と異なり、贈賄罪に該当する規程はありません。

2 「受任している事件」

 受任している事件は、現に受任している事件を指し、過去に受任していた事件などは含まれません。
 ただ、本条に違反していなくても、過去に受任していた事件の相手方からの利益供与が、弁護士の品位を失うものとして懲戒事由に該当する可能性は否定されません。

3 相手方

 他の条文と同じように、事件の直接の相手方に限らず、実質的に利害が対立する者を指します。

4 利益

 ここでの「利益」は、賄賂罪と同じく、「人の需要若しくは欲望を満たすに足りる一切の利益」を指します。
 現金はもちろん、飲食や地位なども含まれます。
 また、現金の場合、謝礼のようなものに限られず、実費日当のようなものであっても対象となります。

5 26条違反の行為

 この条文に違反してなされた法律行為、訴訟行為であっても、法的安定性の観点からして有効であると考えられています。

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