懲戒委員会①

1 懲戒委員会

 弁護士会が、当該単位会に所属する弁護士又は弁護士法人を懲戒する場合には、弁護士会の懲戒委員会による議決に基づく必要があります(弁護士法第58条5項)。
 弁護士法は、弁護士(弁護士法人)を懲戒するかどうかについて、会長の独断や弁護士会の総会等の意思決定機関ではなく、懲戒委員会に判断させることにしていますので、この懲戒委員会は独立性を保つ必要があります。
 そのため、法の明文はないものの、懲戒委員会の弁護士委員としては、会長副会長等の役員、常議員会の常議員、綱紀委員会の委員と兼職することは適当でないと考えられています(日弁連会長通知等)。

2 懲戒委員会の設置等

 弁護士法65条1項により、懲戒委員会は日弁連及び単位会に設置されることとされています。綱紀委員会と共に弁護士法上設置することが定められている委員会ですので、「弁護士法上委員会」などと整理している単位会も存在します。その他弁護士会には人権擁護委員会や刑事弁護委員会なども設置されていますが、これらの委員会は会則等で設置されることとなっているものですので、綱紀・懲戒委員会は設置根拠からしても全く別のものということになります。
 懲戒委員会は「その置かれた弁護士会又は日本弁護士連合会の求めにより、その所属の弁護士又は弁護士法人の懲戒に関して必要な審査をする。」(弁護士法65条2項)とされており、懲戒に関して必要な審査をすることがその任務となっています。
 ここでの「必要な審査」とは、綱紀委員会が懲戒委員会に付することを相当と議決した事件の審査を指していますので、懲戒委員会が独自で事件を立件するということは想定されていません。
 最終的に懲戒委員会で事案の審査を行い、懲戒をするべきか否か、懲戒するとすれば除名、退会命令、業務停止、戒告のいずれの処分が妥当であるのかを決定することとなります。

3 権限

 懲戒委員会は、「審査に関し必要があるときは、対象弁護士等、懲戒請求者、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。」(弁護士法67条3項)というように、対象弁護士等に説明などを求めることができます。
 対象弁護士は、弁護士である以上綱紀・懲戒の手続きに協力する義務を負っていますので(日弁連会則第72条)、これに応じなかった場合に罰則等の手段はありませんし、これを説明や回答等を強制する法的手段はありませんが、応じなかったことそれ自体が会則違反であるということを理由に懲戒事由となる場合があります。

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