懲戒事由(会則違反)

1 会則違反

 懲戒事由の2つ目は「所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し」た場合です。
 この条文では「会則」と定められていますが、日弁連の会則第29条で「会則、会規、規則」
の遵守義務が定められていますから、「会則」という形式以外の物違反も対象となります。

2 実質的判断

 しかし、これは弁護士会にあるあらゆる会則等の違反が懲戒事由となってしまいます。会則の中には
単なる手続きを定めただけのものや、訓示規定にすぎないようなものも含まれています。
 このようなものに対する違反まですべて懲戒事由となるのは不適当であると思われますので、実際には会則等に対する違反のうち、懲戒をするに値する違反のみが対象となると思われます。

3 会則違反の代表例

 会則違反のうち最も多いのは会費の滞納です。
 日弁連の会則97条では、6か月以上の会費滞納が懲戒事由であると記載されています。
 このほか、各単位会でも会費の納入義務が決められており、単位会の会費の滞納も会則違反となりえます。
 会費の滞納によりどのような懲戒を受けるかについては、滞納した期間やその後に納付したか否かによって異なると思われますが、2年以上の会費滞納などでは退会命令を受けているケースも多く見受けられます。
 会費滞納以外の会則違反としては、業務停止中の弁護士活動が挙げられます。懲戒の処分として業務停止を受けた場合には、その期間は弁護士としての活動を行うことができなくなります。懲戒の内容としての業務停止処分は弁護士法に規定がありますが、具体的に業務停止期間にどのようなことができなくなるか(又はどのようなことをしなければならないか)は会則などに定めがあります。
 ですので、業務停止期間の弁護士活動は会則違反として懲戒の事由となります。

4 弁護士職務基本規程違反

 現在、弁護士倫理の中核として、弁護士職務基本規程があります。この弁護士職務基本規程は、かつて「弁護士倫理」として日弁連総会決議等で議決されたものでしたが、平成16年に会規として定められることになりました。
 ですので、現在「弁護士職務基本規程」違反は、会規違反ということになりますので、弁護士法が定める懲戒事由に文言上は当たることになります。
 しかし、すでに2で見たように、実質的な判断が行われることになっていますから、弁護士職務基本規程に違反したからといって、その違反すべてが対象となるのではなく、実質的に懲戒に値する程度の違反のみが懲戒の対象となります。

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