係争権利の譲り受け

1 係争権利の譲受の禁止

 弁護士法第28条は、「弁護士は、係争権利を譲り受けることができない。」としています。
 これは、弁護士が事件に介入することで利益を上げることが、弁護士としての品位を失い、格子柄性を害すると考えられたからです。
 そして、本条に違反した行為については、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金という刑事罰が科されています。

2 係争権利

 係争権利としてどのようなものが対象となるかについては学説が分かれています。
 1つ目は、現に訴訟、調停等紛争処理機関に係属中の権利であるとする考え方であり、もう一つはそれに限らず紛争中の全ての権利を指すとする考え方です。
 裁判例には前者の説が多く、大審院時代の裁判例では「係争権利とは訴訟の目的と為りたる権利にして現に其訴訟中に係るものを指称し権利実行の為めに申立てられたる競売の目的と為りたるものは訴訟の目的物に非さる」と判断し、競売物件を譲り受けても違法ではないとしました。
 先ほど述べた通り、本条違反の行為には刑事罰が科せられる以上、罪刑法定主義を前提に検討しなければならないため、より制限的に解釈する方が妥当であろうと思われます。

3 譲り受け

 条文上の譲り受けには、有償無償の区別がありませんでの、いずれの場合でも本条に該当すると思われます。
 また、売買、交換、贈与等の法形式も問われていませんので、いずれの形式であるかも問題となりません。
 ただ、弁護士が、別の者を代理して係争権利を譲り受けた場合、双方代理の問題が生じる可能性はありますが、このような場合には本条に該当しないと思われます。

4 本条違反の行為

 弁護士法28条に違反してなされた行為は、公序良俗に違反するような事情があれば無効となりますが、そうでなければ直ちに効力を否定されるものではないとされています。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー 秘密厳守の無料相談