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1 日弁連綱紀審査会
日弁連綱紀審査会とは、弁護士法第71条1項に基づき設置される機関です。
日弁連綱紀審査会の役割は、綱紀審査を行うことです。
委員は、学識経験者(弁護士、裁判官、検察官である者かこれらであった者は除くとされていますので、法曹意外となります)の中から委嘱されることになり、大学教授等から選ばれています。
2 綱紀審査
⑴綱紀審査の要件
綱紀審査が行われるのは、以下の条件をすべて満たす場合のみです。
- 単位会綱紀委員会が単位会懲戒委員会に事案の審査を求めない議決をし、それに基づき単位会が懲戒しない旨を決定したこと
- 日弁連が、①の決定に対する懲戒請求者による異議の申出を棄却又は却下したこと
- 懲戒請求者からの綱紀審査の申出があること
これらの要件を満たした場合に綱紀審査が行われることとなっています。
そのため、対処弁護士を懲戒しない旨決定されていたとしても、①②以外の場合(たとえば単位会綱紀委員会は事案の審査を求めたが、単位会懲戒委員会が懲戒しない旨議決し、単位会がその決定した場合)では綱紀審査を行うことができないこととなります。
⑵綱紀審査の手続き
綱紀審査は、不服申し立ての一環ではあるものの、あくまでも懲戒請求の事実を一から調べ直すというよりは、法曹以外の市民の目から見直すというものであり、補充的な審査を行うことが予定されています。
そのため、その手続きは綱紀・懲戒委員会の手続きより相当簡略化されています。
ただ、対象弁護士は、その結果次第では懲戒をされる可能性があるため、書面提出権などが確保されています(綱紀審査会規程第26条)。
⑶綱紀審査会の議決
綱紀審査会が行うことのできる議決は以下の者です。
- 単位会懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当とする議決
- 綱紀審査の申出が不適法却下であるとする議決
- 単位会懲戒委員会に事案の審査を求める議決が得られなかった旨の議決
- 対象弁護士の死亡等による審査の終了
- 綱紀審査の申出の取下げによる終了
綱紀審査会が①の議決を行うためには、出席した委員の3分の2以上の多数をもって議決しなければなりません(弁護士法第64条の4第1項)。
そのため、3分の2以上を得られなかった場合には、③の議決を行うことになります。