依頼者との関係性

(事例)

A弁護士はBさんから,SNS上で書かれた誹謗中傷の相談を受け,代理人として着任した後,発信者情報の開示や特定した中傷の相手方との交渉を行っていました。

最終的には相手方との和解が成立し,Bさんに対する誹謗中傷のメッセージも削除されました。依頼内容に満足したBさんは,弁護士報酬の支払いとは別に,「お礼の気持ちとして食事に付き合ってほしい」とA弁護士に伝えました。

依頼者からの要望を無下にするわけにもいかにと,A弁護士はBさんの食事に付き合いましたが,後日,Bさんの夫であるCさんから「妻と不貞をしているのではないか」と詰め寄られ,弁解をしたものの,Cさんから懲戒請求がされてしまいました。

(解説)

弁護士も依頼者も人であるため,依頼を受けた法律業務を機械的に処理するだけかというと,そういうわけでもありません。

依頼者との間で図るコミュニケーションは,時として事件のことで不安を抱える依頼者の精神的な支えになりますし,依頼者の方から敬意や感謝の気持ちが行動で示されることもあります。

もっとも,あくまで弁護士と依頼者という関係を超えるべきではなく,依頼者との関係性に踏み込みすぎると様々な問題を招きます。

A弁護士のように,依頼者からの厚意であっても,あらぬ誤解を招くこともあります。

依頼者との関係性に起因するトラブルは複雑化しやすく,事例のように弁護士本人が弁明をしても,かえって火に油を注ぐ結果になることもあります。

依頼者との関係というデリケートな問題での懲戒請求がされた場合は,速やかに懲戒救済弁護士に依頼をして間に入ってもらうことが欠かせません。

早期の相談・依頼が問題を複雑化させる前の解決にもつながります。

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