弁護士は国家資格に基づく法曹として,訴訟をはじめ法律事務を行うことができる特別な立場にあります。
そのため,その立場や職責に応じた責任が伴うことになります。その一つが懲戒制度です。弁護士はその活動によって民事及び刑事責任とは別に,懲戒処分を受けることがあります。
弁護士法や所属弁護士会及び日弁連の会則に違反した場合,所属弁護士会の秩序や信用を害した場合,職務の内外を問わず品位を失うべき非行があった場合に懲戒処分が下されます(弁護士法56条1項)。
懲戒処分を行う主体は,懲戒請求を受けた弁護士が所属する弁護士会になります(弁護士法56条2項)。
弁護士に対する懲戒処分を求める懲戒請求があった場合,弁護士会は綱紀委員会及び懲戒委員会で調査及び審査を行い,懲戒処分の対象となる行為があったか否か,懲戒処分を行うべきか,どのような種類の懲戒処分を行うかを決定します。
このように,懲戒処分は弁護士が所属する弁護士会による,内部処分という性質を持ちます。
綱紀委員会及び懲戒委員会が懲戒相当と議決を行った場合,所属弁護士会は当該弁護士に対して懲戒処分を行います。
懲戒処分を受けた弁護士は,不服がある場合は日弁連に対し審査請求を行うことができます(弁護士法59条1項)。
裁決によって審査請求が却下もしくは棄却された場合,当該弁護士は東京高等裁判所に懲戒処分の取消しの訴えを提起することができます(弁護士法61条1項)。