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業務停止①
1 業務停止とは
弁護士の懲戒処分の2つ目は、「業務の停止」(通常、業務停止と呼ばれます)です。
これより重い処分である退会命令、除名が弁護士としての身分に直結するような処分であるのに対し、業務停止の処分は弁護士という身分自体には影響しません。そのため、業務停止期間中であっても、弁護士会の会費は徴収されます。
2 業務停止の期間
弁護士法第57条1項2号の定めでは、「2年以内」の業務停止と定められていますが、具体的な期間等は定めがありません。
しかし、実際に懲戒をする際には、具体的な期間(たとえば3か月、1年6か月など)を設定して処分をすることになっています。
処分の始期は、具体的な処分の告知があった時点と考えられています。
3 業務停止期間中の登録取消し
業務停止期間中に弁護士の登録を取り消すことは可能とされており、その場合には業務停止の処分が当然に失効するとされています。
4 業務停止期間中にできないこと
それでは、具体的にどのような「業務」が停止されるのでしょうか。
⑴依頼者との委任契約
弁護士が業務停止となったとしても、依頼者との委任契約自体が当然に解除、失効するものではありません(委任契約書に記載があれば別論)。
そのため、業務停止の処分を受けても委任契約自体は存続していることになります。
⑵具体的な活動
ただし、仮に委任契約が存続していたとしても、弁護士としての業務(訴訟事件等の一般法律事務。定義は弁護士法3条1項)は停止されている状態にありますから、具体的な弁護活動はできません。
委任契約が存続しているので、義務はある一方、業務停止処分を受けていますから、債務不履行状態に陥っています。
なお、仮に業務停止期間中に弁護活動を行った場合には、そのこと自体が新たな懲戒事由となりますので、代理人・弁護人を辞任する等の措置をとる方が依頼者の方のためと言えます。
⑶官公署による委嘱
弁護士の職務として、「官公署の委嘱」によって行う法律事務が含まれます。たとえば国選弁護人や破産管財人、司法試験委員、人権擁護委員などが挙げられます。
このうち、国選弁護人や破産管財人など、法律事務を行うことが委嘱の内容となっているものについては、当然その職務を行うことができなくなりますので、委嘱した官公署は直ちに委嘱を取り消すべきです。ただ、この点についても、上記の委任契約と同様、業務停止処分を受けたからといって、特段の行為無しに委嘱が取り消されるものではありませんから、官公署による取消しが必要であると思われます。
次に、弁護士であることが委嘱の要件となっているものの、法律事務を内容としないようなものの場合(たとえば司法試験委員など)については、業務停止処分によって弁護士たる身分は喪失しないことから、委嘱を継続することも可能であると思われますが、業務停止を受けていること自体から弁護士としての見識の問題が生じていると言え、できる限り弁護士自身が辞任するか、委嘱の取消しをすべきであると言えます。
最後に、弁護士であることが委嘱の要件となっておらず、法律事務も含まれていない場合ですが、こちらも2番目の事例と同じように考えられるところですので、辞任等をする方がよいと思われます。
戒告
1 戒告
(1)戒告とは
戒告は、弁護士法第57条1項1号に定めがある処分で、懲戒処分の中では最も軽い
処分となっています。
(2)戒告による影響
業務停止以上と異なり、戒告を受けた場合であっても弁護士資格には一切影響を及ぼしません。
そのため、戒告後も通常通り弁護士活動を行うことができます。
ただ、戒告になった場合にはその処分が公告され、『自由と正義』に事案が掲載されるほか、官報に公告をされることになっています(弁護士法第64条の4)。ただし、弁護士としての資格には影響を与えない処分ですので、裁判所・検察庁への通知は行われません。
それ以外にも、日弁連の会長選挙の被選挙権を3年間失うことになっています。
2 戒告処分に対する不服申立て
戒告も懲戒の処分の1つですから、単位会が戒告の処分としたときには日弁連懲戒委員会への審査請求、日弁連が懲戒にしたときまたは審査請求が棄却されたときには東京高等裁判所へ取消訴訟を提起することができます。
戒告は弁護士の身分に影響を与えないものではありますが、訴えの利益がないということにはなりません。ただし、戒告は処分をした段階で執行が終了することになりますので、執行停止の申立てはできないと考えられています。
