Archive for the ‘懲戒処分’ Category

【弁護士が解説】処方箋偽造でどうなる?刑事責任・看護師免許・懲戒処分のリスクを解説

2026-04-09
薬

事例

東京都内の総合病院に勤務する看護師Aさんが、自身の不眠症状を改善する目的で、医師の許可なく睡眠薬の処方箋を偽造し、薬局で薬を受け取りました。
後日、薬局からの照会により発覚し、警察に通報されました。
(事例はフィクションです。)

① 刑事上の責任(刑罰)

この場合、主に次の犯罪が成立する可能性があります。

有印私文書偽造等罪(刑法第159条)

    Aさんは、医師に成りすまし、医師名義の処方箋を作成していますから、有印私文書偽造罪が成立します。
    なお、「有印」とは、「他人の印章等を使用して」行うことを指すとされていますが、処方箋の医師名の横には医師の印が押されていると思われますので、この罪が成立します。

    有印私文書行使罪(刑法第161条)

      この偽造文書を行使した場合には、有印私文書行使罪が成立します。薬局に提出する行為は、まさに行使と言えます。

      詐欺罪(刑法第246条)

        このような偽の処方箋を用いて医薬品を薬局から購入した場合、「もし本当のことを(偽造されていること)を薬局が知っていたら、薬を提供しなかった」
        と言えることから、薬を詐取したとして詐欺罪に問われる可能性があります。
        なお、Aさんはもちろん対価として薬の代金を支払っているはずで、これ自体は正当な金額だと思われます。たとえ正当な対価を支払っていたとしても、
        本当のことを知っていれば売らなかったというような場合には、詐欺罪が成立しうると言えます。

        仮にこれらのすべてについてAさんが罪に問われたとしても、初犯であれば実刑判決となる可能性はそれほど高くありません。
        しかし、Aさんが過去にも同じようなことをしている場合や、初犯であっても詐取した薬剤の量が多い場合、自己使用目的ではなく転売目的である場合等には実刑の可能性が否定できなくなってきます。

        ② 看護師資格への影響

        看護師の資格は、保健師助産師看護師法に基づいて管理されています。
        看護師については、罰金以上の刑となった場合や、看護師として品位を損するような行為があったときに処分を受ける可能性があります
        保健師助産師看護師法14条

        ■ 行政処分の流れ(罰金以上の刑を受けた場合)

        まず刑事事件が確定する必要があります。現に裁判中の場合には、罰金以上の刑を理由に処分を受けることはありませんし、第一審が終了しても控訴した場合には刑が確定していない状態になるので処分を受けません。ただし、看護師として品位を損する行為かどうかは、刑の確定とは関係ない事情となりますので、こちらを理由として処分を受ける可能性があります。

        法律上、厚生労働省による調査が行われることになっています。しかし、実際には都道府県知事(もっと言うと、都道府県の担当部局の職員)による聴聞が行われることがほとんどです(同15条3項)。

        都道府県において聞き取りが行われ、その意見が厚生労働省に提出されることで、実際に医道審議会での審議が行われることになります。
        最終的な処分については、医道審議会の意見を聞いたうえで、厚生労働大臣が決定する(准看護師の場合には、准看護師試験委員の意見を聞いて都道府県知事が決定する)ことになっています。

        ■ 想定される行政処分

        処分の重さは事案の悪質性によります。ただ、「保健師助産師看護師に対する行政処分の考え方」が公表されており、ここで一応の目安が記載されています。
        処方箋の偽造については直接的には定められていませんが、職務上の立場を利用して犯罪を行ったような場合には重い処分とすることが明記されていますので、
        今回のAさんの事例でも免許取消し業務停止といった重い処分が考えられます。

        ■ 免許取消の場合

        一度免許を取り消されると、基本的には5年程度免許が取得できなくなります(取り消しとなった事由にもよります)。

        ③ 勤務先での処分

        病院からは以下の懲戒処分が想定されます。

        懲戒解雇
        諭旨解雇
        停職

        医療機関では信用失墜行為は重大視されるため、懲戒解雇の可能性が高いです。

        ④ まとめ(本事例の場合)

        この架空事例では:

        刑事責任:有罪(執行猶予付き懲役の可能性)

        職場:懲戒解雇の可能性大

        看護師免許:業務停止〜取消の可能性

        【弁護士が解説】報酬説明なしで280万円請求…弁護士が懲戒請求された遺産分割事件の問題点とは

        2026-03-12

        【弁護士が解説】報酬説明なしで280万円請求…弁護士が懲戒請求された遺産分割事件の問題点とは

        弁護士 困った

        1.事案の概要

        弁護士M(登録8年目・都市部の法律事務所勤務)は、個人依頼者Nから、次の事件を受任した。

        相続人間の遺産分割協議
        遺産総額:約2,000万円
        紛争性は比較的低く、調停前の協議段階

        Mは、初回相談時に「うちの事務所の一般的な基準でやります」と述べたのみで、具体的な報酬額・算定方法を明示しなかった。
        また、その際書面による委任契約書は作成されなかった。
        (事案はフィクションです。)

        2.事件処理の経過

        Mは、相続人との電話連絡、協議書案の作成などを行い、約2か月で事件は円満に解決した。
        裁判所での手続は利用されず、依頼者Nは結果に概ね満足していた。

        3.問題行為の発覚

        事件終了後、MはNに対し、以下の請求書を送付した。

        着手金:50万円
        成功報酬:遺産総額の10%(200万円)
        事務手数料等:30万円
        合計:280万円

        Nは、事前説明を受けていない、成功報酬の意味が分からない、紛争がほぼなかったとして強く抗議した。

        これに対しMは、「成果が出たのだから当然の報酬だ」「払えないなら法的措置も検討する」と述べ、請求を撤回しなかった。

        4.懲戒請求の申立て

        Nは、報酬説明義務違反、高額な報酬請求、契約書不作成を理由に、所属弁護士会へ懲戒請求を行った。

        5.弁護士Mの弁明

        Mは調査に対し、次のように主張した。

        事務所の内部基準に基づく請求である
        相続額に比例する成功報酬は合理的
        依頼者も弁護士費用が発生することは理解していた

        6.判断

        以下の点を問題視した。

        ① 報酬説明義務違反

        金額・算定方法・成功報酬の定義について事前に具体的説明がなかった、書面化もされていない

        → 依頼者の合理的理解を欠くほか、契約書作成義務という弁護士の基本的な義務に違反している

        ② 不当な高額性

        紛争性が低く、処理期間も短期間、裁判手続なし

        にもかかわらず、
        遺産総額の10%を成功報酬とするのは、契約書が作成されていない本件では不相当に高額の可能性がある。

        ③ 事後的・一方的請求

        結果確定後に初めて高額な報酬を提示

        → 依頼者の自己決定権を侵害

        ④ 威圧的言動

        法的措置を示唆し、支払を迫った点も不相当との評価を受けざるを得ない。

        まとめ

        契約書なく受任をすることは、書面作成のみといった簡単な事件ではない限り禁止されています。
        また、事務所に報酬の一覧を備えつける必要があるため、依頼者からしても全く金額の予想がつかないわけではありませんが、別の合意をすることなども可能なので、事件ごとに都度金額の説明を行う必要性があります。
        報酬の回収ということ自体は問題にならないものの、安易に法的措置を持ち出すなどした場合には、それ自体品位を失う行為として懲戒になる可能性があるので注意が必要です。

        【弁護士が解説】証拠開示資料をブログ掲載・記者提供した弁護士の法的責任とは――秘密漏示罪・目的外使用・懲戒のリスクを解説

        2026-02-26

        証拠開示資料をブログ掲載・記者提供した弁護士の法的責任とは

        PC 男性 頭抱える

        弁護士Aは、強盗致傷事件の被告人Bの弁護人として、検察官から証拠開示を受けました。
        記録には、被害者の供述調書が含まれ、その中には被害者の住所や連絡先がマスキングなしで記載されていたほか、防犯カメラ映像データなども含まれていました。

        弁護士Aは、社会的に注目を集めた事件であることから、
        記録の一部を自己のブログで「社会的関心が高い事件」として紹介しました。
        そのなかでは、被害者の供述内容を匿名化が不十分な状態で掲載しています。

        さらに、知人の記者に参考資料としてPDFデータを送付しました。

        Aにはどのような責任があるでしょうか。

        ① 想定される刑事責任

        弁護士が刑事事件記録を不適正に利用した場合、行為態様によっては以下の犯罪が成立し得ます。

        1.秘密漏示罪刑法134条

        弁護士は「業務上知り得た秘密」を守る義務を負います。

        被害者の供述内容や住所
        事件関係者の個人情報
        捜査上の非公開情報

        これらを正当な理由なく漏らした場合、6月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金に処せられます。

        本事例では、被害者の氏名や住所が記載された供述調書をブログにアップしたり、記者に教えたりしていますので、秘密漏示の罪になる可能性があります。

        2. 証拠目的外使用(刑事訴訟法上の問題)

        証拠開示資料は「防御目的」に限定して使用することが前提です。
        目的外使用は、刑事訴訟法281条の5に定める罰則の対象となり、弁護人であっても処罰の可能性があります。
        被告人が目的外使用をした場合(目的とは、281条の4第1項に定める目的です)には、それだけで処罰の対象となりますが、
        弁護人は「対価として財産上の利益その他の利益を得る目的」に使用した場合に処罰の対象となります。
        自己の名声を上げるための場合などは、利益を得る目的と認定される可能性が高いので注意が必要です。

        ② 懲戒処分(弁護士法上)

        弁護士は 弁護士法 に基づき、所属弁護士会および 日本弁護士連合会 の監督を受けます。

        懲戒の種類(弁護士法57条
        戒告
        2年以内の業務停止
        退会命令
        除名(弁護士資格喪失)

        本事例で想定される処分

        本件のように、被害者が特定された場合、二次被害発生したり、記者へデータ送付という積極的漏洩をしたことが弁護活動と無関係な利用であるならば、重い処分となる可能性があり、業務停止となる可能性も否定できません。

        ③ 民事責任

        被害者から、
        不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求
        慰謝料請求

        を受ける可能性もあります。

        刑事弁護における証拠開示資料は、
        ✔ 防御目的限定
        ✔ 厳格な保管義務
        ✔ 関係者以外への提供禁止

        が原則です。

        特にデジタルデータは漏洩リスクが高いため、注意が必要です。

        【弁護士が解説】税理士が税理士法などの関係法令に違反した場合に受ける行政処分とは?

        2026-02-12

        【弁護士が解説】税理士が受ける行政処分とは?

        税理士

        税理士行政処分を受けるのは、税理士法や関係法令に違反し、税理士としての信用・職責を損なう行為があった場合です。
        以下では、処分の種類を整理したうえで、具体的な事例に即して解説します。

        税理士に対する行政処分の種類(税理士法44条)

        税理士法に基づく行政処分には、主に次の3種類があります。

        ・戒告
        ・2年以内の税理士業務の停止
        ・税理士業務の禁止

        これらのうち、どの処分となるのかは違反の内容・悪質性・影響の大きさ・再発防止の可能性などを総合的に考慮して決定されます。
        しかし、税理士法は、特に問題となるようなケースについて、あらかじめ処分の内容を定めています。

        具体的な事例別の解説

        ① 無資格者への名義貸し【重い処分】

        事例
        税理士が、自分の名義を使わせて、無資格者に申告書作成や税務相談をさせていた。

        問題点
        税理士法では、税理士資格のない者が税務代理・税務書類作成・税務相談を行うことは禁止されています。

        名義貸しは、制度の根幹を揺るがす重大な違反です。

        何も自分で処理せず、すべてを事務員に処理させていたような場合でも名義貸しに該当する可能性がありますので注意してください。

        ② 脱税相談等をした場合の懲戒(45条)

        事例
        顧問先の要請に応じて、架空経費の計上や売上除外を知りながら申告書を作成した。

        税理士が、故意に真正の事実に反して税務書類を作成した時は、2年以内の税理士業務の停止または税理士業務の禁止とすることができるとされています。
        税理士として故意に脱税をしたような場合には、さすがに戒告処分では済まず、業務停止以上の処分となる可能性が高いことを表しています。
        なお、法文では処分することが「できる」となっており、処分をしない場合もあることを前提としています。ただ、故意の脱税は相当重い行為ですから、処分を覚悟しなければなりません。

        顧問先などから、適切な処理とは異なる処理を依頼される可能性もあります。不適法だと知りながら、断り切れずに処理してしまった場合でも、故意にやったことには変わりはありませんから注意が必要です。

        ③ 守秘義務違反

        事例
        顧問先の財務状況や申告内容を、第三者や他の顧客に漏らした。

        問題点
        税理士法には厳格な守秘義務規定がある

        故意・過失を問わず、漏えい自体が問題となります。
        内輪の場面であっても注意をしましょう。

        ④ 税理士会の指示・義務違反【比較的軽いが繰り返すと重くなる】

        事例
        研修受講義務を正当な理由なく長期間怠る
        税理士会の調査や報告要請に応じない

        問題点
        税理士は公的資格者として、会の統制下にある

        協調義務違反は職業倫理上の問題となり、戒告処分を受ける可能性もあります。

        行政処分が与える影響

        官報等で処分内容が公表される
        顧問先・金融機関からの信用失墜
        業務停止中は一切の税理士業務が不可
        登録取消しの場合、再登録は極めて困難

        などといった、様々な問題が生じます。

        まずは、このようなトラブルが生じないように業務を行いましょう。
        仮に問題になった場合には、処分の軽減を図れるよう、弁護士にご相談ください。

        【弁護士が解説】勤務中の看護師が勤務先の病院で入院中の患者からお金を盗むとどうなるか?

        2026-01-29

        看護師が患者からお金を盗むとどうなるか?

        医療従事者 お金

        事例

        地方都市の総合病院で勤務する看護師A(30代・勤続8年)は、夜勤中に患者の枕元にあるロッカーから現金3万円を持ち去りました。
        後日、患者の申告と防犯カメラ映像により発覚し、病院は警察に被害届を提出。Aは事実を認め、被害金額は弁済しました。
        (※事例はフィクションです。)

        ① 刑事処分(刑法上の責任)

        適用される罪名

        窃盗罪刑法235条
        他人の財物を窃取した者は、
        10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

        Aさんの行為は、他人のものである現金を盗むという行為になりますので窃盗になります。
        なお、仮にAさんら病院が、患者の人から現金を預かって別の場所で保管しており、それをAさんが盗んだというような場合には、業務上横領罪となる可能性もあります。業務上横領罪になると、法定刑は10年以下の拘禁刑となり、罰金の定めが消えてしまいます。

        想定される刑事処分の内容

        刑事処分は、
        ・被害の程度、行為態様、前科があるかどうか
        ・被害回復されているかどうか
        ・そのほかの社会的制裁を受けるかどうか
        などの要素を考慮して決定されます。

        今回の事件で言えば、患者のお金を盗むということは、単なるスリの事案などと比較しても悪質であると判断される傾向にあります。
        しかし、Aさんが初犯で、被害者に対して被害弁償をしていれば、3万円という金額自体はそれほど高額というわけではないので起訴猶予処分不起訴)となる可能性も十分あります。
        これに対して、この事件は万引きの事案よりは重い事案であると考えられますから、仮に被害弁償ができないということになれば、初犯であっても略式による罰金刑となる可能性が高いと言えます。

        ② 行政処分(看護師免許に対する処分)

        こちらが看護師にとって非常に重いポイントです。

        根拠法令
        保健師助産師看護師法

        この法律では、
        「看護師としての品位を損なう行為」があった場合
        厚生労働大臣が行政処分を行える

        と定められています。

        また、罰金以上の刑に処せられ場合にも、処分を受けることがあります。

        行政処分の種類(軽い順)

        戒告
        厳重注意・将来を戒める処分

        業務停止
        〇か月〜〇年、看護業務ができない

        免許取消
        看護師資格そのものを失う

        本事例で想定される行政処分

        患者からの窃盗は、医療職としての信頼を大きく損なう行為と評価されやすいため、業務停止となる可能性も否定できません。

        特に、
        患者という弱い立場を利用した点
        職務中の犯行である点

        が重く見られます。

        ただ、行政処分は、刑事処分がどのようになったのかを相当意識していますので、被害弁償ができて起訴猶予となったような場合であれば処分が軽減される可能性が高いと言えます。

        ③ 勤務先(病院)からの処分

        ※刑事・行政とは別枠です。

        多くの場合、
        懲戒解雇
        少なくとも 諭旨解雇
        になる可能性が高いです。

        医療機関は「患者からの信頼」が生命線なので、復職は極めて困難です。
        なお、仮に勤務先が国公立の病院である場合には、勤務関係が公務員のものとなりますので、解雇ではなく免職という表現になります。
        ただ、これも刑事処分がどうなったのかに大きく影響を受けます。

        このように、看護師の方が窃盗事件を起こすと、様々な処分を受ける可能性があります。
        ただ、いずれも刑事処分の結果に大きく左右されますから、まずは被害者の方への謝罪と賠償が優先されます。
        事件を起こしてしまった場合には、まずは刑事事件に関して弁護士に相談しましょう。

        弁護士が交通事故を起こすとどのような処分となるか

        2025-10-07

         弁護士が交通事故を起こした場合、その事故の内容や責任の程度によっては、弁護士資格に影響を及ぼす可能性があります。ただし、「交通事故を起こした」という事実だけで直ちに弁護士資格を失うわけではありません。以下に、具体的なポイントを解説します。


        1. 弁護士資格への直接的な影響

        弁護士資格の停止や剥奪は、主に「品位を失う行為」があった場合に問題となります(弁護士法第56条、同法第65条など)。したがって、交通事故においても以下のような事情がある場合は懲戒処分の対象となる可能性があります。

        ▼ 懲戒処分の対象となり得るケース:

        ケース資格への影響
        飲酒運転・無免許運転・ひき逃げ等高い確率で懲戒処分(戒告、業務停止、除名など)となる可能性あります。刑事罰も予想されるので、そちらにより資格を喪失する可能性もあります。
        人身事故(重過失あり)過失の程度やその後の対応によっては処分対象になり得えますが、過失犯自体ではそれほど処分の可能性が高いとまで言えません。しかし、刑事罰の内容により資格を喪失する可能性があります。
        軽微な物損事故(過失小)原則として弁護士資格に影響が出たり、何らかの処分を受ける可能性は低いと思われます。

        2. 懲戒処分の種類

        懲戒処分は、弁護士会によって行われるもので、以下のような種類があります(弁護士法第56条)。

        処分の種類内容
        戒告厳重注意に相当。公告はされるが、業務停止にはならない。
        業務停止一定期間、弁護士業務の遂行が禁止される。
        退会命令当該弁護士会からの強制退会。
        除名弁護士としての資格そのものを剥奪。

        3. 刑事処分と弁護士資格の関係

        交通事故が刑事事件となった場合(例:過失運転致死傷、危険運転致死傷など)、刑事罰の内容も重要です。

        • 拘禁刑以上の刑(執行猶予含む)を受けた場合
          • 弁護士法第7条により、欠格事由に該当し、弁護士資格を喪失します。
          • 執行猶予期間が満了すれば、再度登録の申請は可能。

        4. 事故後の対応がカギとなることも

        弁護士としての社会的信用や倫理性が問われるため、以下のような対応は資格への影響を左右する可能性があります。

        • 被害者への誠意ある謝罪と補償
        • 事故の事実を隠蔽しない
        • 適切な報告を行う(弁護士会などに必要があれば)

        まとめ

        交通事故の内容弁護士資格への影響
        軽微な物損事故原則として影響なし
        人身事故(過失あり)過失の程度と対応によっては処分対象に
        飲酒運転・ひき逃げ高確率で懲戒処分、場合によっては資格喪失も
        拘禁刑以上の刑欠格事由に該当し、資格喪失

        様々な懲戒について

        2025-03-18

        このサイトでは様々な「懲戒」を扱っていますが、その意味合いは文脈によって様々です。

        そこで、ここでは「懲戒」という言葉について分類しておこうと思います。

        ①民間企業における「懲戒」

         民間企業で仕事をしているうえで、「懲戒処分」と受けることがあります。

         これは企業の労働者への監督権の一環として、懲戒権として認められているものになります。

         停職、減給などの様々な処分がありますが、これは労働問題の一環としてなされるものであり、争う場合には労働審判、民事訴訟などで争うことになります。

        ②公務員の懲戒

         公務員も労働者ですが、「懲戒処分」を受けることがあります。

         これは地方公務員法、国家公務員法といった公務員に関係する法律により定められているものであり、行政処分の一環として行われるものです。これを争う場合には、人事院、公平委員会等の行政機関に不服申し立てを行った後、行政訴訟を提起することになります。

        ③医師・看護師の懲戒

         医師や看護師に対しても懲戒処分がなされることがあります。

         その前に、医師や看護師でも、民間病院や公立病院に勤務している場合があります。この場合、医師や看護師も労働者ですから、①②で見たいような懲戒処分が別途発生する可能性があります。

         ここで問題にする医師や看護師に対する「懲戒」は、それらの資格に対する処分です。

         罰金以上の刑を受けた場合などには、医師や看護師は何らかの懲戒処分を受けることがあります。これは、厚生労働大臣が個人に対して科すものであり、業務停止などの処分を行うことになっています。

         これらの処分は、厚生労働省の医道審議会で検討されるのですが、一時的には都道府県の担当部局が聴き取り等を行います。そのため、都道府県⇒医道審議会と上がって、最終的に厚生労働大臣による処分が行われることになります。

         そのため、これらの処分を争う場合にも行政訴訟を提起することになります。

        ④弁護士に対する懲戒

         弁護士に対する懲戒処分は、これらの懲戒処分とは異なります。

         まず、申立が認められています。何人でも弁護士に対して懲戒をするよう申し出ることができます。医師に対する懲戒をするように厚生労働大臣に申立てることはできませんので、これは大きな違いです。

         次に、処分の第一次的な判断は各弁護士会及び日本弁護士連合会によってなされるというところにあります。たとえば、医師による処分は厚生労働大臣によってなされますが、これに対して不服の訴えを提起する場合には、地方裁判所に訴訟提起することになりますしかし、弁護士会の処分に不服がある場合には日本弁護士連合会に不服申立てをし、その処分にも不服がある場合には東京高等裁判所に訴えを提起することになっています。日弁連が第一審的な役割を果たすことになっています。

         弁護士に対する懲戒処分は、いずれにしても資格に対するものになっています。また、官報に公告されることになっているので、必ず氏名などが公になります。公務員に対する処分も公表されていますが、氏名などまで公表されている例は多くなく、この点でも異なります。

        【弁護士が解説】職務上請求書で取得した相手方の住民票を依頼者に交付してよいか

        2024-12-10

        【事例】

         X弁護士は、Aから依頼を受けた相続をめぐる事件に関し、調停を申し立てるために他の相続人Bの住民票を職務上請求用紙を用いて取得した。

         そのことをXがAに言うと、Aは「長らく音信不通だったBがどこに住んでいるのか知りたいので、先生その住民票もらえませんか?」と依頼してきた。

         XはAに住民票を交付してよいのだろうか。

        【解説】

        1 規則について

         弁護士が、弁護士である地位に基づいて住民票等を取得できるのは、戸籍法や住民基本台帳法にその定めが存在するからです。

         ただ、実際に弁護士が住民票等を職務上請求する際には、日弁連が定める規則等に従う必要があります。

         日弁連では「戸籍謄本等請求用紙の使用及び管理に関する規則」を定めています。それ以外に、単位会でも実際の購入方法などを定めた規則が定められている例が多いものと思われます。

         ただ、これらの規則でも、おそらくは取得した戸籍謄本や住民票についてどのような取扱いをするかについては定めがないものと思われます。

        2 守秘義務

         戸籍や住民票の記載事項は、本来であれば記載されている者や直系親族などでなければ見ることができないものです。

         そうすると、これらの記載内容を第三者に漏らすことは、弁護士の「守秘義務」の関係で問題があるのではないかという問題が生じます。

         弁護士法23条では、「弁護士(中略)は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。」とされており、弁護士職務基本規程23条でも「弁護士は、正当な理由なく、依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は利用してはならない。」とされています。

         特に弁護士職務基本規程では「依頼者について」という文言がある関係で、弁護士法23条の主義ヒムについても、今回のBのような「第三者」については守秘義務の対象外ではないのではないかとの解釈も成り立ちうるところです。しかし、日弁連綱紀委員会では「守秘義務の対象・範囲は、依頼者はもとより第三者の秘密やプライバシーにも及ぶことでは当然とされている」と判断しており、第三者の秘密も守秘義務の対象であると考えられています。

         今回のBの住民票についても、通常であれば他人が見られるようなものではないため、秘密に該当します。そのため、職務上請求で取得したBの住民票をAに交付することは守秘義務違反に該当する可能性があります。特に、B以外の家族の名前などが同じ住民票に記載されている場合、違反となる可能性は一層高まります。

         もっとも、調停申立書には当然Bの住所を記載します。そのため、調停申立書の写し等をBに交付すると、Bの住所をAに知られることになります。このことの是非も当然問題となります。

         これまでのAの言動などからして、仮にBの住所を教えてしまうと、Aが直接押しかけたり郵便を送るなどして問題が生じる可能性があると感じられるのであれば、住所をマスキングするなどして交付したほうが安全であると言えます。

         少なくとも、今回のケースで取得した住民票そのものを交付することは極めて危険であり、差し控えるべきであると言えます。

         

        【弁護士が解説】刑事事件を起こすと介護福祉士の国家資格はどうなるのか

        2024-10-22

        【事例】

         介護福祉士であるAさんは、ある日通勤途中、自動車で交通事故を起こしてしまいました。

         幸い被害者の方は全治2週間程度のけがではあったものの、警察の方からは事件を検察庁に送ると言われました。

         Aさんはどのような刑事罰を受け、それによって介護福祉士の資格はどうなるのでしょうか。

        【解説】

        1 交通事故の刑事罰

        ⑴交通事故による処分の種類

         Aさんは交通事故を起こしてしまいましたが、事故の場合、色々な処分がなされます。

         1つ目は、運転免許の点数です。けがの程度や運転態様にもよるのですが、免許の点数が引かれる場合があります。そして、注意しなければならないのは、点数を引かれたからといって刑事罰を受けないというわけではないところです。よく似た制度に「反則金」というものがありますが、反則金で処理されるようなものの場合は、反則金を払えば刑事罰を受けなくて済むような仕組みになっています。しかし、点数と刑事罰は全く別のものですので、点数を引かれ、刑事罰を受ける場合があります。

         2つ目は刑事処分です。警察が検察庁に事件を送り、検察官が起訴をして有罪となると、何らかの刑事罰を受けることになります。刑事罰とは、死刑、無期・有期の懲役・禁錮、罰金、拘留、科料のいずれかを指していて、いわゆる「前科」に該当するようなものを指します。繰り返しになりますが、点数と刑事処分は別物ですので、両方が来る場合も珍しくありません。

        ⑵交通事故の刑事罰

         事故により、人にけがをさせた場合には、その事故の態様次第ではありますが、過失運転致傷罪が成立します。

         過失運転致傷罪は、7年以下の懲役・禁錮又は100万円以下の罰金が定められている罪です。ただ、人が死亡した場合の「過失運転致死」と同じ条文・法定刑が定められていますので、現実的に7年の懲役・禁錮になるということはあまり想定されていません。

         一般的に交通事故で人にけがをさせた場合、骨折以上(おおよそ全治1ヶ月程度)のけがをさせた場合には、何らかの処罰を受ける可能性が高いと言えます。反対に、極めて軽微なけが(全治3日など)であった場合には、起訴猶予処分となることも多いようです。ただ、同じ程度のけがであっても事故態様や、不注意の内容、被害者の行動によって処分は左右されますので、必ずしもけがの程度だけで処分が決まっているわけではありません。また、被害者の方と示談をすることによって不起訴処分となることもありますから、事故を起こしたからといってすべてが処罰をされているわけではありません。

         次回ご説明しますが、国家資格の多くは、刑事罰を受けたことを理由として処分の事由を定めています。そのため、国家資格に影響を与えないようにするためには、まずは刑事罰を受けない=不起訴処分となることを優先して考える必要があります。交通事故を起こしてしまった場合には、被害者の方との示談等をいち早く検討する必要があります。

        【弁護士が解説】薬剤師が交通事故を起こすとどのような処分が待っているか②

        2024-10-01

        【事例】

         薬剤師の資格を持ち、ある病院で勤務しているAさんは、ある日通勤途中、自家用車を運転している際に前方の車に追突してしまいました。

         Aさんはすぐに110番と119番をしたのですが、前方の車に乗っていたBさんが全治1週間程度のけがをしてしまったようでう。

         Bさんが診断書を出したことにより、Aさんに対する過失運転致傷罪の捜査が開始しました。

         このあとAさんにはどのような処分が待っているのでしょうか。

        【解説】

         前回に引き続き、今回は薬剤師免許に対する行政処分について解説していきます。

         まず、薬剤師法8条により、行政処分は免許の取消し・3年以内の業務停止・戒告の3種類と定められています。ですので、処分を受ける場合にはこのいずれかの処分となります。

         ただ、仮に薬剤師が刑事罰を受けた場合であっても、薬剤師法8条が「薬剤師が、第五条各号のいずれかに該当し、又は薬剤師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。」と定めており、必ず処分をされるわけではありません。たとえば、弁護士法7条は「次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。一 禁錮以上の刑に処せられた者」としており、禁錮以上の刑(執行猶予付きも含む)を受けてしまうと、どのような理由であれ弁護士となる資格を喪失することになっていますので、違いが分かるのではないかと思います。

         次にどのような手続で処分を行うかです。薬剤師法8条を見ると「厚生労働大臣は・・・・」となっています。ですので、最終的な処分は厚生労働大臣名でなされます。このことは薬剤師免許が厚生労働大臣名であることの裏返しです。

         ただ、実際には厚生労働大臣が個人で決めているわけではありません。厚生労働省内に医道審議会という審議会が設置されており、そのなかの「薬剤師分科会薬剤師倫理部会」により答申がなされ、それに従って厚生労働大臣が処分をするということになっています。たとえば、直近であれば、準強制わいせつ未遂と傷害罪を起こした薬剤師に関して免許取消となっています。

         とはいえ、この医道審議会も東京で開かれているだけですから、全国にいる薬剤師に聞き取りを行えるわけではありません。そのため、薬剤師法8条5項により、都道府県知事が聞き取りを行い、これを厚生労働大臣が行ったことに代えることとされています。しかし、都道府県知事が聞き取りをしているわけではなく、実際には都道府県の担当部局がこれを行うということになっています。

         ですので、個々の薬剤師の方には、都道府県の医政担当部局から呼び出しがあり、そこで聴聞という手続きが開かれ、その内容が知事→医道審議会→大臣と上がっていくという仕組みになっています。

         今回のような交通事故の場合、どのような処分となるかは「行政処分の考え方」が事前に公表されています。過失運転致傷については、基本的には戒告の取扱いにするとされています(⑹ア)。ただ、情状が軽ければ処分がなされないこともあり得ると思われますし、反対に飲酒運転や危険運転、ひき逃げといった重い場合には処分がより重い処分となることが予想されます。

         処分の軽減を図るためには、最初の都道府県への聞き取りへの対応が必須です。むしろ、ここでしか話を聞かれませんので、都道府県での対応が鍵となります。有利な処分を得るためには、まずは刑事事件でより軽い処分を得て、それをもって都道府県の聞き取りに臨む必要がありますので、刑事の段階から処分を目標に示談交渉等を行う必要があります。これらの交渉には難しい点もありますので、まずは弁護士にご相談ください。

        « Older Entries

        keyboard_arrow_up

        0120631881 問い合わせバナー 秘密厳守の無料相談