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【弁護士が解説】公務員が刑事罰を受けるとどうなるか

【事例】
X市の職員であるAさんは、ある日
①電車内で盗撮をし、逮捕されてしまいました。
②通勤途中に車で事故を起こし、被害者が亡くなってしまいました。
Aさんにはどのような処分がなされるのでしょうか。
【解説】
1 公務員の欠格事由
地方公務員であるAさんの身分関係については、地方公務員法が適用されることになります。また、自治体ごとに条例や基準がありますので、具体的な処分については自治体によって異なる形になるのですが、個々では法律の範囲内で解説をしたいと思います。
地方公務員法16条では、職員となることができない場合として「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」と定められています。「その執行を受けることがなくなるまで」というのは、いわゆる執行猶予中の期間を想定していただければよいと思います。そのため、仮に執行猶予付き判決であっても、公務員の場合には「職員となれない」=免職となってしまいます。
2 具体的な手続
①盗撮のケース
盗撮の場合、現行犯的な形であっても逮捕されることが多いと言えます。そして、逮捕されてしまうと、公務員の場合ほぼ確実に新聞等で報道されてしまいます。
刑事罰が出るよりも先に、報道等で問題となり、職場内での手続が開始されていきます。
とはいえ、公務員に対する処分は、行政手続の一種となりますので、法律上の規定にのっとって進められることになります。民間企業との異なり、どれほど悪質であってもいきなり免職になるというわけではないということです。
盗撮は、初犯であれば略式罰金となることが多いタイプの犯罪です。そのため、「禁錮以上」の刑ではないことから、刑事罰を理由に免職となることはありません。また、起訴と処分が同日であることも多い手続きですので、後から述べる起訴休職という必ずしもなるわけではありません。
多くの自治体を見ると、停職数か月となるケースが多いようです。
ところで、被害者の方と示談できた場合、刑事事件については不起訴処分(=罰を受けない)となることもあります。このとき、公務員としてはどのような処分になるのでしょうか。
既にみたように、報道等されることが多く、自治体の信用を失墜させていますから、仮に刑事罰が不起訴処分であっても、公務員としては何らかの処分(停職処分等)となる可能性は高いと思われます。ですので、刑事事件が解決したからといって、それで終わりというわけにはいきません。
②交通死亡事故のケース
死亡事故は、被害者が亡くなられているため大きな事件ではあるものの、故意に起こしているわけではない点で、①のケースよりも悪質性が低いとみられるかもしれません。
しかし、死亡事故の場合には、被害者に落ち度があるようなケースでもない限り、初犯であっても公判請求(正式な裁判。罰金より重い刑が求刑される)されることが高い事件です。公務員が起訴されると、地方公務員法28条2項2号により、休職となります(これを「起訴休職」と呼びます)。
そして、裁判を受けた結果、執行猶予付きの判決となってしまうと、これは「禁錮」刑となるため、欠格事由に該当し、免職となります。
このように、交通事故であっても、略式罰金を超える処分となってしまうと、失職することになります。
以上のように、公務員の身分は、刑事事件との関係で不安定な地位におかれてしまいます。何らかの事件を起こしてしまった場合には、職を守るためにもまずは弁護士にご相談ください。
【弁護士が解説】医師の資格と交通事件の関係

【事例】
医師であるAさんは、プライベートで車を運転中・・・
①飲酒運転をして現行犯逮捕されてしまいました
②交通事故を起こし、被害者が全治1週間のけがをしました
③交通事故を起こし、被害者が亡くなりました
それぞれの場合、Aさんの医師免許にはどのような影響があるのでしょうか。
【解説】
1 医師の資格の欠格事由
医師法7条は、「医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。」としています。そこで、4条を見ると、「三 罰金以上の刑に処せられた者」と書かれています。
そのため、医師免許を保有している者が、罰金以上の刑(これは、医業に関する罪で罰金以上の刑を受けた場合に限りません)を受けた場合には、医師免許取消や医業停止の処分を受ける可能性があります。
2 各事例の検討
①飲酒運転のケース
飲酒運転の場合、多くは現行犯逮捕されています。逮捕している事件の場合、警察は報道機関に逮捕者の氏名等を伝えることが一般的(ニュースでよく見る情報は、このように伝えられています)です。医師等であれば報道されてしまう可能性も極めて高いと言えるので、医師免許以前の問題として、報道により職を失う可能性が高いと言えます。
問題の医師免許ですが、飲酒運転の初犯であれば、酒酔い運転(アルコールの数値に限らず、まともに運転できていないような状態です)でなければ、略式罰金として罰金刑になることが多いと言えます。道路交通法違反での罰金ですので、必ずしも医師免許の処分を受けるケースが多いとは言えません。しかし、そもそも報道等をされてしまうと、厚生労働省や都道府県管轄部局も事件を認知しますから、「医師としての品位を損するような行為」として処分を受ける可能性は十分あります。
②交通事故のケース
過失による交通事故は、どうしても回避できない場合があります。もちろん、全く回避不可能というようなケースであれば、過失犯として罪に問われることはありませんが、よそ見のようなケースではやはり過失運転致傷の罪が成立します。
とはいえ、全治1週間程度であれば、不起訴処分となり、前科がつかないケースも多いと言えます。前科がつかなければ、担当部局に事故のことが伝わることは多くないので、医師免許の処分がないこともほとんどだろうと思われます。
③交通死亡事故のケース
とはいえ、死亡事故となると、それなりに大きく報道されることもあります。過失犯であれば逮捕されないことも十分ありますが、それほど簡単に不起訴になるわけではありません。
実際、過失運転致死で、被害者に特に落ち度がないようなケースであれば、公判請求(正式な裁判を行うこと。テレビで見るような裁判です)となる場合が多いと言えます。
そうすると、医師であっても罰金以上の刑(多くの場合は禁錮刑です)となってしまいます。
ただ、事故である以上、医師の資質の問題性とは関連が低いことが多いと言えます。そのため、厚生労働省が示している考え方においても、戒告処分とされています。
いずれにしても、道路交通法違反や交通事故を起こしてしまった場合、速やかに弁護士に相談し、今後の見通しや、取り得る策を講じたうえで、医師免許への影響を最大限小さくする必要があります。まずは弁護士にご相談ください。
【弁護士が解説】懲戒手続が開始された場合にはどのように対応するべきか

【事例】
X弁護士は、過去の依頼者とのトラブルから、所属する弁護士会に懲戒請求がなされました。
この後どのような手続となるのでしょうか。
【解説】
懲戒請求を受けた場合、懲戒請求書に相当する書面が事務所に送られてきます(配達証明郵便などが用いられます)。
その中には、懲戒請求を受けたことが記載されているほか、代理人選任権等の一般的な防御権の説明が記載されています。
そして、期日(おおよそ1ヶ月後の日程が指定されていることが多いと思われます)までに答弁書等を提出できることが書かれています。
そのため、まず検討しなければならないことは、答弁書の作成ということになります。
答弁書を提出すると、綱紀委員会からさらに追加で資料請求を受けることがあるほか、最終的には委員会から直接聞き取りを受ける機会が設けられることが多いと思われます。ですので、次に考えることはこの聞き取りの機会への対応ということになります。
ここまで終われば対象弁護士への手続きは終了となりますが、綱紀委員会で最終的な結論が出されるためにはなお時間を要します。
そして、ある程度の時間が経過した後、綱紀委員会からは「事案を懲戒委員会に付するか、それとも付さないか」という結論が出されます。この結論についての書面も、事務所に郵送されます。
ただ、ここで出される結論は、あくまでも「懲戒委員会に付するか」ということのみです。ですので、最終的に懲戒処分を受けるような事案であっても、ここで結論が出されるわけではありません。
このように、綱紀委員会内の手続きだけでも、かなりの時間を要します。しかし、対象弁護士が行える書類の提出などの期限は、手続の極めて早い段階に限定されており、十分検討しないまま書面を出してしまうと、後々の手続きに響いてしまうことも珍しくありません。
そのため、懲戒請求を受けた場合には、第三者の弁護士の意見を聞くなどして、備えることが必要です。
各委員会の判断に対する不服申立て
それでは、ここで各委員会の判断についての不服申し立てについて整理したいと思います。
第1 単位会からスタートする懲戒事件
1 単位会綱紀委員会の判断
⑴事案を懲戒委員会に付するとの判断
対象弁護士は、これに対して不服申し立てを行うことはできません。
⑵事案を懲戒委員会に付さないとの判断
懲戒請求者は、日弁連綱紀委員会に対して異議の申出を行うことができます。
2 単位会懲戒委員会の判断
⑴懲戒処分をするとの判断
対象弁護士は、日弁連懲戒委員会に審査請求を行うことができます。
懲戒請求者は、単位会がした処分が「不当に軽い」と考える場合には、異議申出を行うことができます。
⑵懲戒処分をしないとの判断
懲戒請求者は、日弁連懲戒委員会に異議の申出を行うことができます。
3 日弁連綱紀委員会の判断
単位会綱紀委員会が、事案を懲戒委員会に付さないとした判断に対し、懲戒請求者が異議の申出
を行った場合
⑴異議を棄却・却下する場合
懲戒請求者は、日弁連綱紀審査会に綱紀審査の申出を行うことができます。
⑵異議に理由があると考える場合
この場合、日弁連綱紀委員会は、自ら対象弁護士を処分することはせず、事案を単位会懲戒委員会に送る決定をします。この場合、単位会綱紀委員会の「事案を懲戒委員会に付さない」とした判断が取り消され、単位会懲戒委員会に事案が送られるということになりますので、この決定に対して対象弁護士が不服申し立てを行うことはできないと考えられます。
4 日弁連懲戒委員会の判断
⑴対象弁護士が、単位会懲戒委員会が行った懲戒処分に対して審査請求をした場合
ア 審査請求棄却・却下の場合
この場合、対象弁護士は東京高等裁判所に対して処分の取消しを求める行政訴訟を提起することができます。
イ 審査請求に理由がある場合
審査請求を認め、対象弁護士を懲戒しないとした判断に対しては、懲戒請求者は不服申立てできません。
審査請求を認め、対象弁護士の処分を軽くする場合には、対象弁護士は処分されている状態なので、行政訴訟を提起できます。また、処分が軽くなったことに対しては、懲戒請求者は不服申し立てを吸うrことはできません。
⑵懲戒請求者が、単位会懲戒委員会が行った、懲戒処分をしないという決議に対して異議申出をした場合
ア 異議申出を棄却・却下する場合
このとき、懲戒請求者に対して「綱紀審査」手続きは認められていません。
また、懲戒請求者が訴訟提起をして処分を求めることも認められていません。
イ 異議に理由があると考える場合
この場合、対象弁護士に対して何らかの処分を行うことになります。なお、弁護士法64条の5の規定により、日弁連懲戒委員会は、事案を単位会に差し戻すことはできません。
日弁連懲戒委員会が行った懲戒処分に対しては、対象弁護士は行政訴訟を提起することができます。
⑶懲戒請求者が、単位会懲戒委員会が行った懲戒処分が不当に軽いという理由で異議申出をした場合
ア 異議申出を棄却・却下する場合
この場合も、綱紀審査のような手続きはなく、行政訴訟もできません。
イ 異議申出に理由がある場合
この場合、日弁連懲戒委員会は、処分を変更し、自ら重い処分を行うことになります。
処分を重く変更された対象弁護士は、行政訴訟を提起することができます。
第2 日弁連による懲戒
1 日弁連綱紀委員会の判断
⑴事案を日弁連懲戒委員会に付するとの判断
対象弁護士はこれに対して不服申し立てを行うことはできません。
⑵事案を日弁連懲戒委員会に付さないとの判断
日弁連綱紀委員会が原審として調査を行うのは、「日弁連」が懲戒の事由があると判断した場合に限られます。
一般の懲戒請求者が懲戒請求を行うことができるのは、弁護士又は弁護士法人の「所属弁護士会」に限られますので、
一般の懲戒請求者が日弁連に懲戒請求を行うことはできません。
そのため、事案を懲戒委員会に付さないとした判断に、日弁連自身が拘束されますので、不服申し立てをされることはありません。
2 日弁連懲戒委員会の判断
⑴懲戒処分をするの判断
これに対しては、対象弁護士は行政訴訟を提起することができます。
⑵懲戒処分をしないとの判断
1⑵と同じで、日弁連自身が拘束される以上、これに対して不服申し立てをされることはありません。
懲戒委員会④
1 懲戒委員会の議決
懲戒委員会では、審査後議決を行います。
議決の種類は除名、退会命令、業務停止、戒告、懲戒しないのいずれか(対象弁護士の死亡、資格喪失を除く)となり、業務停止の場合には、併せてその期間を定めることとなります。
弁護士法には議決のための定足数などの決まりはないものの、実際には単位会の会則によって
定足数などが決められています。なお、日弁連懲戒委員会では、委員の半数以上の出席がなければ
会議を開くことができません。また、出席者の過半数で決議されることとなっていますので、除名などの場合だけ要件が加重されているということはありません。
2 議決後
懲戒委員会の決議は、弁護士会・会長を拘束するため、弁護士会は速やかに対象弁護を懲戒する(もしくはしない)こととなります。
懲戒をする場合には、書面によりその処分の内容と理由を通知することになっており、実際上は「懲戒書」が作成されることとなります。
この懲戒書を、本人に言い渡す必要があるのか、書面で郵送すれば足りるのかについては、各単位会毎に定めがあり、異なるようです。ただ、言い渡しが必要であっても、言渡し期日さえ対象弁護士に伝えれば、当日不出頭でも言い渡しは可能と考えられているため、不出頭でも効力は生じます。
反対に、懲戒をしない場合には、懲戒請求者にその旨と理由を通知するほか、対象弁護士にも通知することとなります。この際、懲戒請求者には議決書の謄本を添付して通知し、対象弁護士に対しても議決書の謄本が交付されることが多いと思われます。
3 不服申立て
単位会が行った懲戒処分をするという決定に対して、対象弁護士は日弁連懲戒委員会に対して審査請求を行うことができます(弁護士法59条)。
反対に、単位会懲戒委員会が、懲戒をしないとした決定に対しては、日弁連懲戒委員会に対して異議の申出を行うことができます(弁護士法64条の5)
【弁護士が解説】弁護士会からの照会に応じなければならないか

【事例】
X弁護士は、自身の過去の依頼者から懲戒請求を出され、現在事件が綱紀委員会に係属しています。
綱紀委員会からX弁護士のところへ、資料の提出を求める手紙が届きました。
さて、この資料提出に応じなければならないのでしょうか。
【解説】
弁護士法70条の7は「綱紀委員会は、調査又は審査に関し必要があるときは、対象弁護士等、懲戒請求者、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。」と定めており、綱紀委員会が資料要求をする根拠となっています。
それでは、これに回答義務があるのでしょうか。これについては法律では何の定めもありません。しかし、弁護士法が綱紀・懲戒委員会の議事などに細かい規定を置いていない関係で、各単位会には各委員会・手続きに関する規定が置かれているものと思われます。その中で、おそらく多くの単位会では「弁護士等については正当な理由ない限り、資料提出を求められたときには応じなければならない」とする規定が置かれているものと思われます。
守秘義務等の理由で応じられないのであれば正当な理由があると認められると思われますが、そのような理由がないのに資料要求を拒絶すると、会の規定に違反する可能性が高いと思われます。
そして、この違反があった場合、どのようになるかが問題です。
多くの議決書では、調査期日に出頭しないこと等が、処分を重くする不利な事情として記載されています。そのため、要求に理由なく応じないことは、処分を却って重くする可能性がある危険な行為です。また、会員には会則に従う義務が定められていますので、会則違反を構成し、新たな懲戒事由となる危険性があります。
そのため、委員会から求められた場合には、範囲はともかく、資料提示を行う必要性があります。
【弁護士が解説】弁護士は過剰な請求を行ってもよいか

【事例】
X弁護士は、Aから依頼を受け、交通事故不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起しました。
事件内容としては、歩行者であるAが交差点内でBが運転する乗用車と接触し、怪我をしたという単純なものです。そこで、Aが原告となり、Bや保険会社を被告として訴訟提起しました。
ある日、X弁護士は、週刊誌の記事でBの出生にまつわる秘密についての噂が記載された記事を見ました。そこで改めて訴訟記録を確認すると、Bの戸籍や刑事事件記録から見ても、その噂が真実であると確信できるような記載がなされていました。
そこで、X弁護士は、この事実を秘匿しておく代わりに、赤い本の5倍の慰謝料をBに請求しようと考えています。このようなことは許されるのでしょうか。
【解説】
弁護士としては、依頼を受けた依頼者の利益を最大化することが基本的な職務となります。金銭を求める賠償訴訟であれば、訴訟自体に特別な意味があるというような場合を除き、基本的には金額が大きくなればなるほど、原告側(請求する側)としては利益が大きくなったと考えられます。
そうすると、弁護士は1円でも多く獲得する(反対側なら1円でも支払額を少なくする)ことが良いように思われますが、かといってこれに何の制限もないとも言えません。
弁護士職務基本規程21条によれば、「弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める。」とされています。また、同20条は「弁護士は、事件の受任及び処理に当たり、自由かつ独立の立場を保持するように努める。」ともされています。そのため、いくら依頼者が希望したからといって、正当な理由なく過剰な請求をすることは基本規程に違反するものと考えられます。
今回の事例のように、訴訟に全く関係のない点を持ち出し、半ば口封じのためのお金を要求するようなことは、正当な利益の実現とは言えません。特に、交通事故の場合には赤い本等の基準が定まっており、これを大きく逸脱する請求をする限りには、相応の理由が必要となると考えられます。
そのため、このままX弁護士が5倍もの慰謝料請求をすると、懲戒を受ける可能性が生じます。ですので、このような過剰請求は許されないと考えられます。
【弁護士が解説】公認会計士に対する処分はどのようなものがあるか

1 公認会計士の登録
公認会計士を名乗るためには、日本公認会計士協会の名簿に登録される必要があります。
日本公認会計士協会は、公認会計士法43条1個に基づき設立される法人であり、形式的には民間団体ということになります。
そして、公認会計士の登録を行うかどうかは日本公認会計士協会の資格審査会が審査をするものとされています。
2 公認会計士の登録の抹消
また、登録した公認会計士の登録を抹消することも日本公認会計士協会の責務です。登録が取り消される事由として法律に記載されているもの(公認会計士法21条)のうち
1 その業務を廃止したとき
2 死亡したとき
3 欠格事由に該当するに至ったとき
の3つの場合は、公認会計士協会は必ず登録を抹消するものとされています。
次に
4 不正の手段により登録を受けたとき
5 心身の故障により公認会計士の業務を行わせることがその適性を欠くおそれがあるとき
6 内閣府令で定める期間以上の期間にわたり研修を受けていないとき
7 2年以上継続して所在が不明であるとき
は、公認会計士協会は登録を抹消することができると定められています。
3 公認会計士に対する懲戒処分
登録の抹消と異なり、公認会計士に対する懲戒処分も定められています(公認会計士法29条以下)。
まず、登録の抹消との最大の違いは、こちらは「内閣総理大臣」が処分を行うことになっている点です。
また、登録の取消しや業務停止以外に「戒告」の処分も定められています。
そして、これらの懲戒処分を受ける事由は、法30条が「虚偽又は不当の証明」をした場合を定め、法31条がそれ以外の公認会計士法違反等の一般の懲戒事由を定めています。
公認会計士が故意に、虚偽、錯誤又は脱漏のある財務処理を虚偽、錯誤及び脱漏が無いものと証明した場合などは、公認会計士の信用性の根幹にかかわるため、2年以内の業務停止か登録の抹消の処分が選択されることになっています。このように、公認会計士の職務そのものに関連する違反に対しては、身分の剥奪を伴うような非常に厳しい処分が予定されています。
4 対応方法
公認会計士に対する内閣総理大臣の処分は、聴聞を行う行政処分に該当します(公認会計士法32条4項)。そのため、処分の前に必ず自身の意見を述べる機会が与えられています。ここで不利にならないよう、法的に適切な意見を述べる必要性が極めて高いです。
そのためには、処分対応に経験がある弁護士を選任し、手続きに備える必要があります。
【弁護士が解説】精神保健指定医の取消しはどのような場合に生じるのか

1 精神保健指定医について
精神保健指定医とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律18条に定めがあるもので、指定されると措置入院を行うべきかどうかの判断などができることとなっています。
精神保健指定医になるためには、厚生労働大臣あてに申請を行って指定を受ける必要がありますが、①5年以上診断又は治療に従事した経験を有すること②3年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること③厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること④厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修の過程終了していることを満たしたうえで、指定医の職務を行うの必要な知識及び技能を有すると認められるものが大臣により指定されます。
2 精神保健指定医の取消し
反対に、同法律には精神保健医の指定が取り消される場合も定められています。
同法19条の2は
1 指定医がその医師免許を取り消され、又は期間を定めて医業の停止を命ぜられたときは、厚生労働 大臣は、その指定を取り消さなければならない。
2 指定医がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき又はその職務に関し著しく不当な行為を行つたときその他指定医として著しく不適当と認められるときは、厚生労働大臣は、その指定を取り消し、又は期間を定めてその職務の停止を命ずることができる。
としています。
1項は医師免許自体が取り消されたり医業停止を受けた場合ですが、この場合には当然医師としての業務を行うことができなくなりますので、精神保健指定も取り消されます。
2項は①精神保健及び精神傷害者福祉に関する法律か法律に基づく命令に違反したとき②職務に関し著しく不正な行為を行ったときというような指定医として著しく不適当と認められるときに指定が取り消されることがあるという規程です。1項と異なり、2項の「著しく不適当」な場合には指定が必ず取り消されるわけではありません。
ただ、「指定医として著しく不適当」というのは、基準としてあいまいであり、どのような場合に不適当とされるのかは必ずしも明確ではありません。ただ、新規申請については厚生労働省が資料を公表しています。この中で、ケースレポートについて不正があったケースについて大量取消しを行った旨が記載されています。申請の際の記載やケースレポートについて不実の記載をした場合などは、指定が取り消される(指定を受けられない)ことが予想されます。
反対に、指定医としての具体的な活動について、たとえば身体拘束時間が長すぎるとの理由で国家賠償請求を起こされ、それに敗訴したような場合まで「著しく不適当」となるかは明らかではありません。というのも、具体的な個々の医療行為の適否については、医師はその時点で明らかになっていることからしか判断できないのに対し、裁判は後からゆっくりとこれを判断しますから、仮に敗訴しても必ずしも医師の行為がすべて「著しく不適当」とまでは言えないものと思われます。
【弁護士が解説】控訴審を受任しない場合に依頼者にどこまで説明しなければならないか

【事例】
X弁護士は、Aから貸金返還請求訴訟の被告側弁護の依頼を受け、これを受任しました。
しかし、第一審の地方裁判所ではAは敗訴してしまい、仮執行宣言付きの判決が言い渡されてしまいました。
これに対してAは納得せず、控訴を申し立てる意向を示しましたが、第一審で敗訴したのはXの弁護活動が原因であると考え、控訴審ではX以外の弁護士を選任すると述べていました。
そこでXは、「第一審でやり取りした書類は判決文は、全てこのファイルに綴じられています。新しい弁護士さんのところにそれを持って相談に行ってください。」とだけ述べ、それ以上の説明をAに対して行わなかった。
このXの行為は問題ないだろうか。
【解説】
第一審で敗訴し、依頼者からクレームをつけられたような場合、弁護士としては苦しい立場に陥ります。また、依頼者が別の弁護士を選任するといったような場合には、なおのこと新しい弁護士に相談してほしいと思うものだと思われます。
そこで、上記のXの様に、後のことは次の弁護士に聞いてください、という対応になりがちではあります。
しかし、弁護士職務基本規程44条は「弁護士は、委任の終了に当たり、事件処理の状況又はその結果に関し、必要に応じ法的助言を付して、依頼者に説明しなければならない。」と定めています。単に事件処理の結果を報告するだけではなく、「必要に応じ法的助言を付して」説明しなければなりません。
主文の勝訴・敗訴だけであれば比較的明白だと思われます。また、控訴の期限についても、直接法廷で判決文を聞いているような場合であれば裁判官が説明をしていますから分かりますが、そうではない場合には一般的には分からないものだと思われます。特に「仮執行宣言」が付されている場合、これがどのような効果を持つか、またこれを回避するためにはどのようにすればよいのかは、民事訴訟法の理解が無ければ困難です。
そのため、Xとしては、控訴には期限があること、仮執行宣言が付されているので判決が確定しなくても執行されるおそれがあること等をAに対して説明しなければ、規程違反となる可能性があります。
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