
【事例】
社会福祉士の資格を有し、ケアマネージャーとして働くAさんは、ある日万引きをしてしまい、そのまま警察署に連れていかれました。
Aさんにはこの後どのようなことが起きるのでしょうか。
【解説】
1つの刑事事件が起きると、大きく分けて3つの問題が生じます。
①刑事事件
1つめは刑事事件です。これは、警察が捜査をし、検察庁が起訴するかどうかの判断をしたのち、裁判所が有罪の判決を下す(事実に争いのないケースです)という流れになります。
裁判所が下す判決は、死刑、無期または有期の懲役刑、罰金、拘留(≠勾留)、科料(≠過料)のいずれかです。これらは「前科」と呼ばれるものですが、あくまでも「国」の機関である裁判所から刑事罰を受けるというものになります。
②行政事件
行政とは国や地方公共団体などとの関係になります。
社会福祉士という資格や、介護支援専門員という資格も、いずれも社会福祉士法及び介護福祉士法、介護保険法という法律に基づき、厚生労働大臣や都道府県知事という機関が付与している資格となります。
そのため、これらの資格をはく奪する場合も、国や地方公共団体が関与することになります。
また、Aさんが国や地方公共団体に勤務している場合、職場で処分を受ける場合も行政処分に分類されます。
③民事事件
これら①②に対し、国や地方公共団体と関係なく、私人同士の問題となるのが民事事件です。私「人」とは言いますが、法人も含みますので、一般の企業と個人の関係もこちらになります。
Aさんの事件では、まず被害者である店舗との関係が問題となります。Aさんは店舗に損害を与えていますので、賠償責任を負います。
また、Aさんが民間企業に勤務している場合、その企業から何らかの処分を受ける可能性があります。この処分も、企業と個人の間の問題ですので、民事事件の分類されます。
これら①②③の関係は、法的には別々ということになっています。極端な話、刑事事件と民事事件で事実認定が異なるということもあり得ます。しかし、実際には大きく関係しており、②③は①の刑事処分の程度に左右されることが多くなっています。
そのため、行政、民事の処分を軽くするためにも、刑事処分を軽くする必要があります。ですので、事件を起こしてしまった場合にはすぐに弁護士にご相談ください。
