【弁護士が解説】医師が免許取り消しとなるのはどのような場合か

 医師に対する処分として最も重いものが、医師法7条1項3号に基づく「免許の取消し」です。

 この最も重い処分である免許取り消しはどのような事例でなされているのでしょうか。

 医師に対する処分は、厚生労働省医道審議会医道分科会のホームページで公表されています。

 直近から免許取り消しの事例を挙げていきます(日付は会議の開催日です)。/が人の区切りです。

2025年8月6日 強制わいせつ致傷

2025年3月19日 詐欺、強制わいせつ/児童ポルノ法、青少年健全育成条例違反

2024年11月27日 現住建造物放火/器物損壊×2、迷惑防止条例違反×2、暴行、窃盗、詐欺

2024年7月24日 児童福祉法違反

 これらが、2024年、2025年の免許取り消し事例となります。

 現住建造物放火は、最高刑が死刑までありうる極めて重い犯罪です。そのため、このような事件で免許取り消しとなること自体は理解できます。

 それ以外の罪ですが、罪名だけでは直ちに中身が明らかにはなりません。しかし、いずれの場合にも性犯罪の事例が多いように思われます。

 医師は、その職務上どうしても患者の裸を見る仕事となっています。その中には、成人だけではなく児童に該当する年齢の患者も含まれます。

 そのため、性犯罪に対しては極めて重い姿勢で臨んでいることが予想されます。

 実際、医師に対する行政処分の考え方でも、「国民の健康な生活を確保する任務を負う医師、歯科医師は、倫理上も相応なものが求められるものであり、猥せつ行為は、医師、歯科医師としての社会的信用を失墜させる行為であり、また、人権を軽んじ他人の身体を軽視した行為である。行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、特に、診療の機会に医師、歯科医師としての立場を利用した猥せつ行為などは、国民の信頼を裏切る悪質な行為であり、重い処分とする。」とされています。

 このような処分を軽減するためには、事件発生が事実である場合、速やかに被害者との間で謝罪や示談交渉を行う必要があります。そのため、事件を起こしてしまった場合には、速やかに弁護士にご相談ください。

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