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🔷 法的根拠:弁護士法第28条
✅ 弁護士法 第28条(係争権利の譲受の禁止)
弁護士は、係争権利を譲り受けることができない。
🔷 1. 「係争権利(係争物)」とは?
「係争権利」とは、すでに訴訟等によって法的に争いが生じている権利を意味します。
例えば:
- 裁判で争われている不動産の所有権
- 損害賠償請求権(訴訟中のもの)
- 離婚訴訟で争っている財産分与の対象物
- 債務不存在確認訴訟の対象となっている債権 など
🔷 2. 禁止される行為
この条文が禁止しているのは、弁護士が以下のような行為をすることです
- 自分自身のために係争権利を買い取る(譲受ける)
- 反対に、他人の代理人として、他人の計算において譲り受けることは禁止されていません。
🔷 3. 禁止の趣旨・目的
この規定には、以下のような重要な倫理的・制度的な目的があります:
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| ❗ 公正性の確保 | 弁護士が事件の当事者になれば中立性を欠き、職務に私的利害が混入する恐れがある。 |
| ❗ 依頼者保護 | 弁護士が経済的・法律的に弱い依頼者から権利を奪うような構造を防ぐ。 |
| ❗ 司法の健全性の維持 | 弁護士が訴訟の過程を利用して利得を得ることがあれば、司法制度そのものへの信頼を損なう。 |
🔷 4. 違反した場合の結果
弁護士が弁護士法第28条に違反した場合、次のような法的・職業的責任を問われることがあります:
- 懲戒処分(戒告、業務停止、退会命令、除名)
- 譲受行為の私法上の効力→直ちに効力が否定されるわけではないが、公序良俗違反となれば無効となる
- 民事上の損害賠償責任
- 職務上の信用失墜
