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利益相反とは
利益相反とは、弁護士職務基本規程第27条などで禁止されている、弁護士が受任を禁じられている状況を指します。
弁護士は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第3号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
- 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
- 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
- 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
- 公務員として職務上取り扱った事件
- 仲裁、調停、和解斡旋その他の裁判外紛争解決手続機関の手続実施者として取り扱った事件
このような事件は、弁護士として受任をすることができません。
利益相反が禁止される理由
- 公正な業務の遂行のため
弁護士が一方の利益に偏ると、法的判断や主張が歪められる可能性があります。 - 依頼者の信頼保持
弁護士には高度な守秘義務と忠実義務があります。利益相反はこれに反する行為です。 - 訴訟・交渉の適正性確保
利害が対立する両者を代理するのは、訴訟制度の根幹を揺るがしかねません。
具体例
それでは、具体的にどのような場合で問題となるのでしょうか。
たとえば、夫婦のうち夫から離婚についての相談を受けたあと、妻の代理人になるということは、典型的な利益相反です。しかし、さすがに弁護士がこのような事件を受任することは、よほどのことがない限りないものといえます。
それでは次の例はどうでしょうか。
X弁護士は、長い間A社と取引があり、その代表であるBとも懇意にしていた。A社の社内法務についての相談もたびたび受けており、それについて回答をしていた。あるとき、A社の中で代替わりがあり、Bは半ば追い出されるような形になってしまった。そこで、XはBを代理してA社を相手に株主総会決議取消の訴えを提起した。
Xの目線から見れば、長年付き合いがあるのはB個人であるように思われます。しかし、その実質はA社のために行うものであり、法律上はA社に対して助言を行っているということになります。ですので、事後そのA社を訴えるようなことは、利益相反に該当する可能性があります。
このように、弁護士でもよく気を付けておかなければ問題となる可能性があります。
利益相反に該当しないかどうかのチェックを十分に行う必要があります。