歯科医師の免許の取消しは、厚生労働大臣が行うこととなっています。
しかし、実際には医道審議会医道分科会が答申を行い、それに従って歯科医師に対する処分がなされています。
そこで、ここ数回の免許取消事例を見てみましょう。日付は分科会の開催日です。
2025年3月19日
・詐欺、歯科医師法違反
上にリンクを貼っている厚生労働省のホームページ上で公開されている歯科医師に対する免許取消は、この1件だけです。
医道分科会では同じように医師に対する処分も答申されていますが、医師についてはこの間多数の免許取消の答申が行われています。
なぜ医師の方が処分が多いのかは判然としませんが、いずれにしても歯科医師に対する免許取消は極めてまれなようです。
ところで、歯科医師法7条の免許取消事由は、「歯科医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は歯科医師としての品位を損するような行為があつたときは」となっています。しかし、上で見たように、実際に免許を取り消されている事件は、刑事事件に関係しているものになっています。そのため、単に「品位を損する」というような理由で歯科医師免許が取り消されることはないと考えられます。
また、罪名だけでは事案は判然としませんが、業法違反が免許取消となっています(ただし、診療報酬不正請求事案でも免許停止に留まる事案もあります)。ここからも分かるように、過失運転致傷(交通事故)や道路交通法違反(酒気帯び。ただしひき逃げは重く見られています)の事案では、免許の取消しまでは至らないものと考えられます。
しかし、刑事事件の処分だけで量定をしているわけではなく、被害者がいるような事件では被害者との示談が成立しているか、家族の監督が期待できるかなども考慮要素になっているのではないかと考えられます。ですので、刑事事件を起こしてしまった場合には、将来の処分に備えるためにも、早期から対応をしておく必要があります。