【弁護士が解説】懲戒手続が開始された場合にはどのように対応するべきか

【事例】

 X弁護士は、過去の依頼者とのトラブルから、所属する弁護士会に懲戒請求がなされました。

 この後どのような手続となるのでしょうか。

【解説】

 懲戒請求を受けた場合、懲戒請求書に相当する書面が事務所に送られてきます(配達証明郵便などが用いられます)。

 その中には、懲戒請求を受けたことが記載されているほか、代理人選任権等の一般的な防御権の説明が記載されています。

 そして、期日(おおよそ1ヶ月後の日程が指定されていることが多いと思われます)までに答弁書等を提出できることが書かれています。

 そのため、まず検討しなければならないことは、答弁書の作成ということになります。

 答弁書を提出すると、綱紀委員会からさらに追加で資料請求を受けることがあるほか、最終的には委員会から直接聞き取りを受ける機会が設けられることが多いと思われます。ですので、次に考えることはこの聞き取りの機会への対応ということになります。

 ここまで終われば対象弁護士への手続きは終了となりますが、綱紀委員会で最終的な結論が出されるためにはなお時間を要します。

 そして、ある程度の時間が経過した後、綱紀委員会からは「事案を懲戒委員会に付するか、それとも付さないか」という結論が出されます。この結論についての書面も、事務所に郵送されます。

 ただ、ここで出される結論は、あくまでも「懲戒委員会に付するか」ということのみです。ですので、最終的に懲戒処分を受けるような事案であっても、ここで結論が出されるわけではありません。

 このように、綱紀委員会内の手続きだけでも、かなりの時間を要します。しかし、対象弁護士が行える書類の提出などの期限は、手続の極めて早い段階に限定されており、十分検討しないまま書面を出してしまうと、後々の手続きに響いてしまうことも珍しくありません。

 そのため、懲戒請求を受けた場合には、第三者の弁護士の意見を聞くなどして、備えることが必要です。

 

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