(事例)
A弁護士はBさんから依頼を受けて,Bさんの夫であるCさんに対する離婚調停の代理人につきました。
A弁護士がBさんからの依頼を受けた時点で,BさんとCさんの感情的な対立は激化しており,Cさんの怒りの矛先は次第にBさんだけでなくA弁護士にも向かいました。
ある日,CさんはA弁護士の事務所に電話をし,「妻に余計なことを吹き込んで子どもを連れ去らせたのはお前が原因だ。弁護士会に懲戒請求する」と伝えました。
(解説)
弁護士として携わる法律業務は多種多様です。
法律の専門家である法曹として,適切な見通しを立てて訴訟や交渉に臨むわけですが,時には事件処理の関係でトラブルを招く可能性は否定できません。
例えば,事件の見通しについて依頼者から事後に異論が述べられることもあれば,最適と考えて行った法的措置に対し,事件の相手方からクレームがつくこともあります。
事件処理の遅れや選んだ措置がやりすぎだったなど,弁護士の非が比較的明確なものもあれば,弁護士としては適切な選択をしたつもりであっても,依頼者や相手方にはそのように映らず,紛争に至ってしまうこともあります。
事件処理関係で懲戒請求がされた場合,懲戒請求を受けた弁護士としても,法律の専門家として最適と考えた結果の行動であることも少なくないため,互いの主張が嚙み合わずに事態が深刻化してしまうおそれがあります。
法的紛争の解決を専門とする弁護士といえども,自分自身が紛争の当事者になってしまった場合,冷静かつ適切な対応をするのは容易ではありません。
事件処理関係での懲戒請求がされた場合,個々の弁護士の行動・対応に問題がなかったか,第三者の視点での客観的なチェックが不可欠です。
懲戒救済弁護士に相談をすることで,様々な懲戒事案に対応してきた確かな経験をもとにしたアドバイスを受けることが可能になります。
また,懲戒救済弁護士が間に入ることで,懲戒請求者との交渉が円滑になり,しっかりとした懲戒手続の見通しを立てて手続に臨むことができるようになります。