市民窓口とは、各単位会が、弁護士の活動などに関する苦情を受け付けるために設けている窓口です。
懲戒請求手続と異なり、法律で手続きが定められているものではなく、あくまでも単位会の会則で設置されています。
そのため、単位会毎に仕組みが異なっている場合がありますので、その内容や、対応については各弁護士会会則を参照してください。
日本弁護士連合会の集計によれば、2020年1月から12月の1年間に、1万5174件の苦情が市民窓口に寄せられたとのことです。
その内訳のうち、代表的なものとしては、弁護士の対応や態度に関するものが5446件、事件処理の仕方に関するものが3831件、事件処理が遅滞していることに関するものが1993件、報酬に関するものが1286件となっています。
そもそも、市民窓口への申立件数自体、2011年が1万1129件であったのに対し、2020年には1万5000件程度と、約1.3倍に増加しています。
また、市民窓口へ申立てを行った申立人は、多くが依頼者であるものの、弁護士の対応や態度に関するものについては、事件の相手方からの申立ても少なからずあります。(以上のデータについて、『弁護士白書 2021年版』162頁、163頁。)
市民窓口自体は、弁護士会から委嘱を受けた弁護士か、申立人からの苦情を聴取する機関であり、それ自体が懲戒処分と直結しているわけではありません。
しかし、担当弁護士によって、懲戒手続きの案内がなされる場合がありますので、潜在的な危険性は生じている段階です。