弁護士法58条1項は,誰であっても弁護士に対する懲戒請求を行うことができると定めています。
もっとも,大半の懲戒請求は事件の依頼者や相手方が行っており,懲戒請求者は弁護士として現に行っている法律業務に密接な関係を持っていることがほとんどです。
それゆえ,弁護士との関係が深い相手ほど,いったん顕在化した紛争は深刻化しやすいという問題があります。
例えば依頼者が懲戒請求者である場合,それまでの弁護士との関係性からも,あまり強く反論ができない可能性があります。
反対に,それまでの弁護活動に問題がないことを強調するあまり,依頼者と感情的に接することで,余計に問題がこじれてしまうおそれもあります。
懲戒請求には請求を受けた弁護士本人が対応することもできますが,自分自身が直面する問題を客観的かつ冷静に対処していくことは容易ではありません。
また,懲戒手続の内容を正確に把握している弁護士は決して多くはないため,不慣れな手続に個人で対応しようとしても,適切な主張や弁明ができないリスクも生じます。
加えて,懲戒手続に対するには相応の時間を要し,精神的な負担も軽視できないため,そのような状況で他の法律業務を並行して進めようにも,行き詰ってしまう可能性があります。
このように,懲戒手続には個人で対応することも法律上は可能ですが,懲戒請求者との紛争を抱えたまま手探りで手続に臨むには,あまりに負担が大きくなってしまいます。
適切な主張ができないことで,本来なら回避し得た懲戒処分を受けてしまったり,懲戒処分がより重くなってしまったりという深刻な問題にもさらされてしまいます。
懲戒請求に対応するには,やはり懲戒手続を熟知して経験・実績が豊富な懲戒救済弁護士に依頼をすることが重要となってきます。