【弁護士が解説】依頼者の財産隠しを助言する弁護士に問題はある?

会社経営者からの相談(フィクションです)

中堅建設会社を経営するA社長は、下請業者との紛争を抱えていました。

下請業者B社は、
未払い工事代金3,000万円
遅延損害金
を請求しており、訴訟提起を準備していました。

A社長は顧問弁護士である弁護士Xに相談しました。

相談の中でA社長はこう言いました。
「もし負けたら会社の資産を差し押さえられるかもしれません。何か方法はありませんか。」

これに対し弁護士Xは、
「裁判が始まる前に主要資産を別会社へ移しましょう。」
「帳簿上は売却したことにしておけばよいです。」
「実際にはA社長が支配し続ければ問題ありません。」
「債権者に見つからなければ大丈夫です。」
と助言しました。

このような場合、X弁護士にはどのような問題があるでしょうか。

どういった問題がある?

弁護士の使命は依頼者の利益を守ることですが、
違法な手段で利益を得させること
は許されません。

このことは、弁護士職務基本規程21条で「依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める
と書かれ、正当な利益の追求が求められている点とも合致します。
また、同規程の14条で「弁護士は、詐欺的取引、暴力その他の違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。」とされています。
そのため、弁護士は不正な行為を助長するようなことをしてはいけません。

この事例では、
財産隠しの助言
が問題になります。

これは単なる強気な法的戦略ではなく、
違法行為の教唆・関与
に近い行為です。

もちろん、このようなAの行為は、最終的には詐害行為取消権の行使などにより、回復される可能性のある行為です。
しかし、そのようなことをしなければならない状況に追い込み、債権者の権限行使を困難にさせるようなこと自体、やるべきではない行為ということになります。

それでは、弁護士が発案するのではなく、依頼者から「財産移転すればどうでしょうか」と尋ねられた場合はどうでしょうか。

弁護士としては、財産隠しが場合によっては犯罪になるケースもあること(破産時など)、詐害行為取消などによって最終的には戻されるものであることなどを説明したうえで、そのような行為に及ばないように指導することが望ましいといえます。
ただ、仮に財産隠しに弁護士が関与していなくとも、弁護士が顧問としてついている先で財産隠しが発生した場合には、関与が疑われることは必至です。
そのため、弁護士の注意を前提としても財産隠しを継続するようであれば、顧問先を辞任することも検討しなければならないでしょう。

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