
X弁護士は、残業代請求などの事件については、依頼者からの事実の聞き取りなどは事務職員に任せ、事務員が作成した書類をそのまま裁判所に提出しています。
このような対応は問題ないのでしょうか。
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1 弁護士の監督義務
弁護士職務基本規程19条に
「弁護士は、事務職員、司法修習生その他の自らの職務に関与させた者が、その者の業務に関し違法若しくは不当な行為に及び、又はその法律事務所の業務に関して知り得た秘密を漏らし、若しくは利用することのないように指導及び監督をしなければならない。」
という、弁護士の事務職員に対する指導監督義務があります。
2 非弁行為
弁護士ではない事務職員が、あたかも弁護士であるかのようにふるまって行動することは、非弁行為に該当し、違法となる場合があります。
もちろん、事務職員が弁護士の補助を行うことは当然認められており、そのこと自体で非違行為となることはありません。
しかし、書類作成をすべて事務職員に任せ、弁護士が一度も書面を見ないまま書類が提出されているようなケースでは、非弁行為と指摘される可能性があります。
残業代請求事件においても、勤務時間の確認や、それに基づいてソフトを用いて行う残業代の計算などは事務職員に任せても問題ないケースが多いと思われます。
しかし、残業時間の認定のような、定型性のない点について、弁護士が自ら行っていないとすると監督権の放棄であるといわれる可能性がたかいといえます。
そのため、x弁護士のようなケースでは、このまま書類を提出しているとのことですので、品位を失う行為として処分を受ける可能性がそれなりにあると言えます。
3 禁止事項
事務職員が弁護士の補助を行うことは認められており、事務職員単独で聞き取りを行うこと自体も否定はされません。
しかし、債務整理事件においては、日弁連の会規により、収入や債務額といった基本的な事項を、弁護士が受任時に直接面談して尋ねることが義務付けられています。
もちろん、形式的には事務職員が質問をして、隣で弁護士がそれを聞いているというような状態であれば、形式的な発問者が弁護士でないという理由で処分を受けることはないと思われます。ただ、すべての質問を事務職員が行っていて、弁護士が何もしていないような状況であれば、実質的には弁護士が面談をしていないということで処分を受ける可能性がありますので注意が必要です。
