【弁護士が解説】勤務中の看護師が勤務先の病院で入院中の患者からお金を盗むとどうなるか?

看護師が患者からお金を盗むとどうなるか?

医療従事者 お金

事例

地方都市の総合病院で勤務する看護師A(30代・勤続8年)は、夜勤中に患者の枕元にあるロッカーから現金3万円を持ち去りました。
後日、患者の申告と防犯カメラ映像により発覚し、病院は警察に被害届を提出。Aは事実を認め、被害金額は弁済しました。
(※事例はフィクションです。)

① 刑事処分(刑法上の責任)

適用される罪名

窃盗罪刑法235条
他人の財物を窃取した者は、
10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

Aさんの行為は、他人のものである現金を盗むという行為になりますので窃盗になります。
なお、仮にAさんら病院が、患者の人から現金を預かって別の場所で保管しており、それをAさんが盗んだというような場合には、業務上横領罪となる可能性もあります。業務上横領罪になると、法定刑は10年以下の拘禁刑となり、罰金の定めが消えてしまいます。

想定される刑事処分の内容

刑事処分は、
・被害の程度、行為態様、前科があるかどうか
・被害回復されているかどうか
・そのほかの社会的制裁を受けるかどうか
などの要素を考慮して決定されます。

今回の事件で言えば、患者のお金を盗むということは、単なるスリの事案などと比較しても悪質であると判断される傾向にあります。
しかし、Aさんが初犯で、被害者に対して被害弁償をしていれば、3万円という金額自体はそれほど高額というわけではないので起訴猶予処分不起訴)となる可能性も十分あります。
これに対して、この事件は万引きの事案よりは重い事案であると考えられますから、仮に被害弁償ができないということになれば、初犯であっても略式による罰金刑となる可能性が高いと言えます。

② 行政処分(看護師免許に対する処分)

こちらが看護師にとって非常に重いポイントです。

根拠法令
保健師助産師看護師法

この法律では、
「看護師としての品位を損なう行為」があった場合
厚生労働大臣が行政処分を行える

と定められています。

また、罰金以上の刑に処せられ場合にも、処分を受けることがあります。

行政処分の種類(軽い順)

戒告
厳重注意・将来を戒める処分

業務停止
〇か月〜〇年、看護業務ができない

免許取消
看護師資格そのものを失う

本事例で想定される行政処分

患者からの窃盗は、医療職としての信頼を大きく損なう行為と評価されやすいため、業務停止となる可能性も否定できません。

特に、
患者という弱い立場を利用した点
職務中の犯行である点

が重く見られます。

ただ、行政処分は、刑事処分がどのようになったのかを相当意識していますので、被害弁償ができて起訴猶予となったような場合であれば処分が軽減される可能性が高いと言えます。

③ 勤務先(病院)からの処分

※刑事・行政とは別枠です。

多くの場合、
懲戒解雇
少なくとも 諭旨解雇
になる可能性が高いです。

医療機関は「患者からの信頼」が生命線なので、復職は極めて困難です。
なお、仮に勤務先が国公立の病院である場合には、勤務関係が公務員のものとなりますので、解雇ではなく免職という表現になります。
ただ、これも刑事処分がどうなったのかに大きく影響を受けます。

このように、看護師の方が窃盗事件を起こすと、様々な処分を受ける可能性があります。
ただ、いずれも刑事処分の結果に大きく左右されますから、まずは被害者の方への謝罪と賠償が優先されます。
事件を起こしてしまった場合には、まずは刑事事件に関して弁護士に相談しましょう。

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