【事例】
ある公共の法律相談所で相談を担当していたA弁護士は、相談者からの相談に対して、誤った回答をしてしまったことに後から気が付きました。
具体的には・・・
①遅延利息は現状は年3%であるにもかかわらず、従前の5%で答えてしまった
②時効が3年であるところを5年と答えてしまった
③即時抗告期限と控訴期限を誤って答えてしまった。
このような場合、どのように対応すればよいだろうか。
【解説】
今回例に出した3つの間違いは、民法や民事訴訟法といった基本的な法律に関するものですから、それほど間違えないかもしれません。ただ、これがより専門的な分野になると、どうしても細かいところはあやふやになってきます。
①の場合、確かに金額の差は生じるところなのですが、余程元本が高額であるとか、遅延の期間が長いという場合ではない限り、それほど大きな差が出るとは考え難いところです。
②の場合、時効完成の直前の事件であれば大きな問題となるのですが、たとえば事故発生直後の交通事故の場合(この関係で、3年と5年がややこしくなるところです)であれば、そこまで大きな問題はありません。
③の場合、これは数日単位の問題です。特に即時抗告期限は極めて短い期間に設定されているため、控訴期限(2週間)との勘違いは命取りになり、上訴権を失うことになってしまいかねません。
このように、誤った内容次第で相談者の利益を大きく害することになります。
そしてもし誤りに気が付いた場合には、公共の相談所等であれば相談者の連絡先を控えていることがほとんどですので、まずは連絡を取り、相談者に対して誤りであった旨を伝えるべきです。
また、誤りになる可能性があるようなところは、「正確なことは調べなければならないが」という留保をつけたり、より長い相談が可能な場所を案内するなどの対応をする必要があります。しかし、期限前日等の事件の場合には、速やかに手続きをとる旨伝える必要がありますので、どうしても限界があると言えます。