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1 利益相反
弁護士法第25条は、弁護士が職務を行い得ない事件を定めています。
同様に、弁護士職務基本規程第27条、28条も職務を行い得ない事件を定めています。
前回に引き続き、この職務を行い得ない事件を解説していきます。
2 弁護士法第25条第2号
弁護士法第25条第2号は、職務を行い得ない事件として「相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの」を定めています。
⑴協議を受けた事件
「協議を受けた事件」の意味は、1号と同じ文言ですが、協議を受けるというのは、法律相談などが典型例です。場所等は問われませんが、単なる雑談などは含まれないと考えられます。
⑵1号との違い
1号は「依頼を受けた」事件、「賛助した」事件を対象としています。
1号と本号の違いは、依頼を受けた後の問題を規律するのが1号、依頼を受ける前の信頼関係の状態を問題とするのが本号という形となります。
⑶「協議の方法及び程度が信頼関係に基づく」
上記の通り、本号は依頼に至る前の信頼関係を問題としていることになりますが、1号と同じく職務を行い得ない事件であると定められている以上、依頼を受けている1号と同じ程度の強い信頼関係は必要であると思われます。
そこで「協議の方法」と「協議の程度」が問題とされます。
「協議の方法」とは、回数や場所、直接の面談か電話・メール等でのやり取りかなどの協議のやり方を問題とするものです。
これに対し「協議の程度」は、協議の内容等のどの程度込み入った事情まで協議をしたのか(反対に一般的抽象的なアドバイスに留まるのか等)が問題となります。