公認会計士の処分について

 公認会計士となるためには、公認会計士名簿に登録を受けなければなりません(公認会計法17条)。

 しかし、この登録が抹消される場合が、21条で定められています。

 21条の定めは、大きく2つに分かれていて、1つ目は必ず抹消される場合です。具体的には廃業した場合、死亡したとき、欠格事由に該当するときが定められています。2つ目は、登録を抹消する場合があるとしているもので、多く問題となるものとして、研修を受講していない場合などがこれに当たります。

 これらの登録抹消とは別に、公認会計士に対する懲戒も存在します(同29条)。

 懲戒処分の種類は戒告、2年以内の業務停止、登録の抹消となっており、こちらでも登録の抹消が掲げられています。

 懲戒を受ける理由は、虚偽又は不当の証明を行った場合と、一般の場合で区別されています。虚偽又は不当の証明は、簡単にいえば問題のある財務書類を通してしまった場合です。これに対し、一般の懲戒は、公認会計士法や内閣総理大臣(実際は金融庁)からの指示に従わない場合、著しく不当と認められる業務の運営を行った場合に、懲戒処分ができることになっています。「一般」とはいえ、私生活上のありとあらゆる行為が問題となるわけではありません。

 このような公認会計士法上の懲戒処分は、最終的には金融庁によって判断され、処分がなされることになっています。

 これに対し、公認会計士会自体でも、自主規制を行っています。個別の事案に対する監査だけではなく、一般的な職業倫理なども定めており、公認会計士会として何らかの処分がなされる事案(たとえば退会の勧告など)もあるようです。しかし、こちらは公認会計士法に明文の規定があるものではなく、一般的な会員に対する監督の一環として行われているものと思われます。

 仮に公認会計士の方が処分を受けられた場合、いずれの処分であるのかによって争い方が大きく異なります。金融庁の処分であれば、これは行政処分となりますので、不服審査や行政事件訴訟などで争うことになります。これに対し公認会計士会の処分であれば、民事訴訟を提起することになると思われます。

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