【弁護士が解説】直接面談せずに事件受任をしてよいか

【事例】

 X弁護士は、Aから多重債務の処理に関する事件を受任しましたが、Aとは一切面談せず、面談は事務職員が行っていました。その後、実際に事件処理をする際には、債権者とはXが交渉しているものの、Aとのやり取りは全て事務職員が行っていました。

 このようなことは許されるのでしょうか。

【解説】

 弁護士職務基本規程22条は「弁護士は、委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重して職務を行うも
のとする。」と定めています。依頼者の意思を尊重するためには、当然依頼者の意思を確認しなければなりません。ただ、この方法には特に制限はなく、電話などでも問題はないと思われます。ただし、方法によって説明の必要性が異なってくる(対面が最も説明しやすいと思われます)と思われますので、どの程度説明すれば説明義務を果たしたことになるかについては異なると思われます。

 しかし、債務整理事件については、債務整理事件処理の規律を定める規定が別途定められています。この規定では、3条で「面談して、次に抱える事項を聴取しなければならない」として、直接面談をする義務を定めています。そして、この「面談」には、電話やメールなどは含まれません。

 今回の事件の場合、事務職員を介してAの意向を確認出来てはいますが、債務整理規程が直接の面談を定めているため、X弁護士の行為は会規違反となります。

 債務整理事件を受任する際には、上記規程の存在に十分注意してください。今回のようなケースの場合、業務停止の処分を受ける可能性があります。

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