【事例】
医師であるAさんは、職場外で
①盗撮をして現行犯逮捕されました
②万引きで検挙されました
それぞれの場合、Aさんの医師免許にはどのような影響があるのでしょうか。
【解説】
1 医師の資格の欠格事由
医師法7条は、「医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。」としています。そこで、4条を見ると、「三 罰金以上の刑に処せられた者」と書かれています。
そのため、医師免許を保有している者が、罰金以上の刑(これは、医業に関する罪で罰金以上の刑を受けた場合に限りません)を受けた場合には、医師免許取消や医業停止の処分を受ける可能性があります。
2 各事例の検討
①盗撮のケース
盗撮事件で現行犯逮捕されると、多くの場合報道がなされます。また、医師等の職業の場合には、その肩書も併せて報道されるケースが多くなっています。
余程悪質な場合等を除き、盗撮事件であり、前科前歴がなければ逮捕後2日程度で釈放されることが多いと言えます。しかし、後から述べる万引きと異なり、盗撮の場合には初犯であっても罰金刑となってしまいます。
被害者の方と示談をすることができれば、初犯であれば不起訴処分となることもあり得ますが、余罪が多数あるなどのケースでは、示談をしても罰金となることもあります。
盗撮(従前は迷惑防止条例違反でしたが、現在は性的姿態等撮影罪と呼ばれています)で刑事罰を受けた場合、多くの医師が業務停止の処分を受けています。ただ、職場内で盗撮した事件の方がより重いと考えられるので、具体的な月数については、その内容で判断されていると思われます。
②万引きのケース
万引きは、初犯であれば必ずしも現行犯逮捕されることは多くありません。
また、初犯であれば、被害店舗に支払いを行うこと等により、微罪処分・不起訴処分という、罰を受けない処分となることが多いと言えます。ただ、これもケースによる他、被害金額が大きいとそのようなことは当てはまりません。
そのため、万引きでいきなり処分を受けるという可能性はあまり高くないと言えますが、報道等をされてしまうとこの限りではありませんので、注意が必要です。
いずれにしても、犯罪をしてしまった場合、速やかに弁護士に相談し、今後の見通しや、取り得る策を講じたうえで、医師免許への影響を最大限小さくする必要があります。まずは弁護士にご相談ください。