【弁護士が解説】刑事事件の報道の仕組み

【事例】

 医師であるAさんは、ある日痴漢をしたとのことで逮捕されました。

 その日の夜のニュースで、Aさんが逮捕されたということが報道されていました。

 どうして報道されるのでしょうか。

【解説】

 逮捕には、通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕と3種類あります。

 通常逮捕とは、逮捕状という令状を持って警察官が逮捕しに来る手続のことです。

 現行犯逮捕とは、事件が起きた正にその場で逮捕することです。

 緊急逮捕とは、一定の重い罪に限って、逮捕状がなく、現行犯でなくとも逮捕できる仕組みですが、緊急逮捕後に事後的に審査が行われます(現行犯逮捕の場合には勾留の手続きまで審査はありません)。

 このうち、現行犯逮捕であれば、一般の面前で逮捕されることもありますから、場合によっては人に逮捕されたことが知られる可能性もあります。ただし、その場で氏名を読み上げたりというようなことはありませんので、見ている人からすれば、何処の誰であるかということは必ずしもわかりません。

 これに対し、現行犯逮捕と緊急逮捕は警察官が行うもので、人目があるところでやるわけでもありませんから、隣の家の人に気付かれることはあったとしても、それほど多くの人に気付かれることはほとんどありません。

 では、なぜ報道機関はどこの誰が逮捕されたというようなニュースを流すことができるのでしょうか。

 それは、警察と各報道機関の間で、逮捕した事件等について情報を提供する仕組みになっているからです。よくニュースでは、どこの誰が、何の罪で逮捕され、どのような主張をしているのかが報道されています。特に認否などは、警察官しか知りようがない事実ですから、警察から情報が出ているということが分かるのではないかと思います。

 しかし、警察が報道機関に情報を流したとしても、どの事件を報道するかは各報道機関にゆだねられています。

 ただ、医師や弁護士、公務員といった職業や、芸能人等であれば、多くの場合報道されることになります。

 報道されそうな職種である場合には、予め警察署などに対して報道しないよう申し入れを行うことがありますので、弁護士に相談をしてみてください。

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