【弁護士が解説】公認会計士に対する処分はどのようなものがあるか

1 公認会計士の登録

 公認会計士を名乗るためには、日本公認会計士協会の名簿に登録される必要があります。

 日本公認会計士協会は、公認会計士法43条1個に基づき設立される法人であり、形式的には民間団体ということになります。

 そして、公認会計士の登録を行うかどうかは日本公認会計士協会の資格審査会が審査をするものとされています。

2 公認会計士の登録の抹消

 また、登録した公認会計士の登録を抹消することも日本公認会計士協会の責務です。登録が取り消される事由として法律に記載されているもの(公認会計士法21条)のうち

1 その業務を廃止したとき

2 死亡したとき

3 欠格事由に該当するに至ったとき

の3つの場合は、公認会計士協会は必ず登録を抹消するものとされています。

 次に

4 不正の手段により登録を受けたとき

5 心身の故障により公認会計士の業務を行わせることがその適性を欠くおそれがあるとき

6 内閣府令で定める期間以上の期間にわたり研修を受けていないとき

7 2年以上継続して所在が不明であるとき

は、公認会計士協会は登録を抹消することができると定められています。

3 公認会計士に対する懲戒処分

 登録の抹消と異なり、公認会計士に対する懲戒処分も定められています(公認会計士法29条以下)。

 まず、登録の抹消との最大の違いは、こちらは「内閣総理大臣」が処分を行うことになっている点です。

 また、登録の取消しや業務停止以外に「戒告」の処分も定められています。

 そして、これらの懲戒処分を受ける事由は、法30条が「虚偽又は不当の証明」をした場合を定め、法31条がそれ以外の公認会計士法違反等の一般の懲戒事由を定めています。

 公認会計士が故意に、虚偽、錯誤又は脱漏のある財務処理を虚偽、錯誤及び脱漏が無いものと証明した場合などは、公認会計士の信用性の根幹にかかわるため、2年以内の業務停止か登録の抹消の処分が選択されることになっています。このように、公認会計士の職務そのものに関連する違反に対しては、身分の剥奪を伴うような非常に厳しい処分が予定されています。

4 対応方法

 公認会計士に対する内閣総理大臣の処分は、聴聞を行う行政処分に該当します(公認会計士法32条4項)。そのため、処分の前に必ず自身の意見を述べる機会が与えられています。ここで不利にならないよう、法的に適切な意見を述べる必要性が極めて高いです。

 そのためには、処分対応に経験がある弁護士を選任し、手続きに備える必要があります。

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