預り金規程の改正について

昨今、弁護士による金銭の横領事案のニュースが相次いでいます。

預り金の横領は、それ自体当然業務上横領罪となりますので、刑事事件となります。

弁護士会では、このような横領行為を未然に防ぐため、弁護士の預り金に対する監督を強化しています。

この一環で出来上がった規定が、「預り金等の取扱いに関する規程」です。

この規定は2013年に制定され、その後2017年に改正されました。

そして、2025年6月の定時総会で再び改正されることとなりました。

①自己名義の預り金口座の開設義務

 原則として、自己名義の預り金口座を開設する義務が明記されました。

 基本的にはこれまでも当然と考えられていたことを明示したのみですが、反対に弁護士法人や共同事務所の場合についての例外規定が設けられることとなりました。

 また、他人名義の口座を自己の預り口として利用する場合には、名義人と連名で届出をする必要があります。

②弁護会による照会の発動端緒等の改正

 弁護士会による預り金口の調査を開始する端緒として、預り金に関する苦情が1回でもあった場合には、調査をできることとしています。

 これまでは、3か月で3回あった場合に限定されていましたが、1回あっただけでも調査の対象となります。

③通帳の写しや原本の提示義務

 これまでは通帳については写しを提示すればよいものと考える余地がありました。

 しかし、これを厳格化し、原本を提示する義務を明示しています。

④公表制度の新設

 懲戒に至る前に、預り金口の照会について回答しない場合や、通帳原本を提示しないような場合に、弁護士会が公表できる措置が新設されました。

 懲戒前ですが、対象弁護士に弁明の機会が付与されたのということで、公表されています。

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