非弁提携②

1 弁護士法上の非弁提携の禁止

 弁護士法27条は、「弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」とし非弁提携の禁止を定めています。
 弁護士職務基本規程11条の規定とは若干異なりますので、今回は弁護士法の規定を見ていきます。

2 事件の周旋

 ここでの事件の周旋の意味については、「弁護士法第七十二条にいわゆる訴訟事件の代理の周旋とは申込を受けて訴訟事件の当事者と訴訟代理人との間に介在し、両者間における委任関係成立のための便宜をはかり、其の成立を容易ならしめる行為を指称し、必ずしも委任関係成立の現場にあつて直接之に関与介入するの要はない」(名古屋高金沢支判昭和34年2月19日)とされています。
そのため、弁護士から仲介を依頼した場合も、反対に仲介業者(非弁)から依頼者をあっせんされた場合のいずれも含まれることになります。

3 自己名義の利用

 自己の名義を利用させるとは、「弁護士○○」という肩書付きの名称を利用させた場合だけではなく、「○○」という個人名のみの利用でも含まれるほか、「◇◇法律事務所」という事務所名を利用させた場合も含まれる。ただ、これは弁護士が自らの意思で利用させた場合に限られるので、勝手に弁護士名を利用されていたような場合には本条違反とはなりません。
 名義の利用については有償無償を問わず、利用をさせたこと自体が問題となります。

4 本条違反の行為

 弁護士が行った非弁提携行為については、当該弁護士を罰せば足りることから、他に問題が無ければその行為自体は有効であると考えられます。

5 示談代行

 交通事故を起こした場合に、保険会社が示談を代行しているように見えることがあります。
 ただ、保険会社は、保険契約により自ら被害者に対して賠償をする義務がありますので、他人の事務ではなく自己の事務として被害者との間で示談交渉を行っています。そのため、弁護士法72条の問題は生じません。
 これに対し、物損事故調査員(いわゆるアジャスター)が示談の代行を行う場合、物損事故調査員が保険会社の社員でなければ、弁護士法72条の問題が生じかねない事態となります。
 この点については日本損害保険協会と日弁連の間で折衝が行われ、あくまでも物損事故調査員は
(保険会社側の)弁護士の補助者ととして業務を行っているという立場が確認され、その細則が定められるに至りました。

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