綱紀委員会①

1 綱紀委員会

 請求者から懲戒の請求があった場合、または会請求があった場合、最初に事案の審査が行われるのは綱紀委員会です。
 綱紀委員会の設置根拠は、弁護士法第70条にあり、懲戒委員会はそれより前の第65条にありますが、先に事案が係属するのは綱紀委員会です。また、綱紀、懲戒委員会は、その設置根拠が弁護士法上に存在することから、単位会によっては「弁護士法上委員会」などとして、他の委員会(刑事弁護委員会等)とは別の区分に分類されているところもあるかと思われます。
 綱紀委員会が設置されている理由は、濫用的な懲戒請求に対応し、明らかな懲戒不相当事案を選別するためと考えられています。すべての事件が懲戒委員会に係属してしまうと、重要な事件の審理を十分行うことができなくなります。このような事態を防ぐため、綱紀委員会が事件の選別を行っています。

2 綱紀保持に関する事項

 弁護士法第70条2項は、綱紀委員会の職務として、懲戒事件の士調査の他に「弁護士会所属の弁護士及び弁護士法人の綱紀保持に関する事項をつかさどる」としています。
 これは、具体的な懲戒請求事件の処理ではなく、一般的な弁護士倫理規範の定立、研修などが想定さえれています。
 あくまでも「一般論」ということを前提とする権限ですので、綱紀委員会が、懲戒不相当事案について対象弁護士に注意をするというようなことは想定されていません。

3 綱紀委員会の構成委員

 綱紀委員会は4名以上(弁護士法70条の2)で、弁護士、裁判官、検察官、学識経験者(大学教員が多いです)により構成されます(弁護士法70条の3第1項)。
 また、綱紀委員会の委員は、綱紀委員会んお職務については、「法令により公務に従事する職員とみなす」(同第4項)というみなし公務員規定が存在します。
 そのため、綱紀委員会の委員の職務執行に対して暴行、脅迫を以て妨害した場合には公務執行妨害となりますし、賄賂を供与した場合には贈賄罪が適用されることになります。
 この点までは、全ての単位会に共通するところです。
 ただ、規模の大きな単位会の場合、出される懲戒請求の数も膨大であり、請求があるごとに全綱紀委員で審査をするということは現実的ではありません。
 そこで弁護士法においては、綱紀委員会の中に部会を設置することができることになっています(弁護士法第70条の6第1項)。より少人数の部会委員によって、事件を効率的に調査できるようになっています。また、部会で出した結論を、そのまま委員会の議決にすることも可能です(同第5項)。ただし、それでは綱紀委員会の公正性に疑問がでるかのうせいがありますので、部会には弁護士、裁判官、検察官、学識経験者を1名以上入れるようになっており、弁護士委員だけで結論が出せないようになっています。
 さらに、ここからは単位会毎に取り扱いが異なると思われますが、実際には部会の中から2名ほどの委員が「主査・副査」という形で聞き取り等の調査を行い、その内容を部会で議論するというような形式が取られている単位会も多いのではないかと思われます。

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