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■ 懲戒処分の概要
税理士が職務上の義務に違反した場合や、税理士としての品位を損なう行為をした場合などには、「税理士法」に基づき、懲戒処分が科されることがあります。
■ 懲戒処分の種類(税理士法第44条)
税理士に対する懲戒処分には、以下の3種類があります:
- 戒告(かいこく)
注意・警告を与える最も軽い処分。 - 業務停止(最長2年)
一定期間、税理士業務を行うことを禁止する処分。 - 税理士業務の禁止(免許取消)
税理士としての資格を失う最も重い処分。
■ 懲戒処分の手続の流れ
懲戒処分に至るまでの基本的な流れは以下の通りです。
1. 【事案の発覚・通報】
- 税理士本人の行為について、以下のような経路で問題が把握されます:
- 税務署や国税局などの調査による発覚
- 顧客や関係者からの苦情・通報
- 税理士会による内部通報
- 裁判結果や刑事事件の報道
2. 【調査・審査】
- 税理士が所属する税理士会が調査を行う場合があります。
- また、国税庁・国税局が独自に調査を行う場合もあります。
- 調査では、事実関係の確認、関係書類の収集、関係者への聞き取りなどが行われます。
3. 【国税局長または国税庁長官への報告】
- 調査結果を踏まえ、懲戒に相当すると判断される場合には、
- 所属税理士会または
- 調査を行った国税局
が、国税局長または国税庁長官に報告します。
4. 【聴聞、弁明の機会の付与(行政手続法)】
- 懲戒処分を行う前に、当該税理士に対して聴聞又は弁明の機会が与えられます。
- 書面または口頭で、自らの行為について説明・反論を行うことができます。
5. 【懲戒処分の決定と通知】
- 国税局長または国税庁長官が懲戒処分の内容を決定し、当該税理士に通知します。
- 業務停止や業務禁止の場合は、処分の内容と期間が明記されます。
6. 【公表】
- 懲戒処分を受けた税理士の氏名・処分内容・理由などは、官報に掲載され、公にされます。
■ 処分後の対応・影響
- 業務停止中は税理士業務が一切できず、違反すれば刑事罰の対象になります。
- 業務禁止処分の場合は税理士登録が抹消され、再登録には制限があります。
- 懲戒処分の履歴は一定期間残り、再登録や就職活動に影響する可能性があります。
■ 不服申立て(行政不服審査)
- 税理士は、懲戒処分に不服がある場合には、行政不服審査法に基づく審査請求や、行政訴訟を提起することが可能です。
■ まとめ
手続段階 | 内容 |
---|---|
① 事案発覚 | 通報や調査で問題行為が判明 |
② 調査・審査 | 税理士会や国税局が調査 |
③ 上申 | 国税庁に報告される |
④ 弁明 | 税理士に反論の機会が与えられる |
⑤ 処分決定 | 国税庁長官または局長が処分 |
⑥ 公表 | 官報に掲載される |